プリセールスってどんな仕事?仕事内容や年収、セールスエンジニアとの違いについて解説
IT業界には専門職が多く、魅力的な職業のひとつである『プリセールス』の全容について把握されていない方もいらっしゃると思います。そこでこの記事では、混同しがちなセールスエンジニアとの違いや、プリセールスに必要なスキル、役立つ資格などについて解説をしています。ぜひともご確認ください。
-
Contents
プリセールスの仕事内容とは?
プリセールスとは、営業職とエンジニア職の中間のような立ち位置で、自社の製品やサービスを販売・導入する前に営業に同行し、相手先企業に技術面の説明や提案をする職業です。営業職だけでは対応できない専門的な知識を持ち、相手先企業の要望に応えるエンジニア職種のひとつとして識別されています。
-
セールスエンジニアとの違い
プリセールスと混同しやすい職業にセールスエンジニアというものがあります。セールスエンジニアもプリセールスと同じように、営業に同行し専門的な知識を持って相手先企業に技術的な説明や提案をする職業です。
しかし、プリセールスは英語では【pre:あらかじめ、以前の、〜の前部にある】+【sales:販売、セールス】という意味であり、英語訳のとおり、商談前、あるいは商談そのものに対応する職業なのに対し、セールスエンジニアは商談後のアフターサービスや相手先企業との連絡窓口なども業務内容に含まれています。
そのため、商談後のやり取りを含むか否かという点において、プリセールスとセールスエンジニアは異なっています。しかしながら、企業によってはそこまで厳密に区分しているわけではなく、どちらかの職名でセールスエンジニアとしての仕事をしているケースもあるようです。また、セールスエンジニアについて説明をしている記事もありますので、よろしければご確認ください。
関連記事:セールスエンジニアとは?仕事内容から年収・必要なスキルなどをご紹介
-
プリセールスの年収
パーソルキャリア株式会社が運営する転職情報サイトの『doda』によると、プリセールスの平均年収は635.8万円となっており、IT/通信系エンジニア職種の平均年収450.7万円よりも高くなっています。また、年収1,000万円以上の割合が全体で13%もあり、プリセールスは高額年収が見込める職業であるといえます。
※参考:プリセールスとはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説
-
プリセールスのやりがい
プリセールスは自社製品やITに関する知見から相手先企業の課題解決をおこないます。そのため、通常のエンジニア職と違い、ITのことに明るくない相手への説明や折衝、自社内リソースや予算などについても勘案する必要があります。これらはシステム開発や営業のスキルを土台として、複合的かつ論理的に思考を働かせることになり、難易度の高い職種であるといえます。
業務で求められるスキルが多岐に渡るため、仕事をやり終えたあとのやりがいや達成感も生まれやすいでしょう。また、営業と相手先企業との橋渡しの役割もあるため、契約履行によって双方から感謝される立ち位置であるといえます。
-
プリセールスに活かせるスキル
プリセールスに活かせる知識を5つお伝えします。
-
エンジニアとしてのスキル
プリセールスの職務ではエンジニアとしてのスキルが必要になるため、エンジニア経験がある方は仕事に活かせます。また、企業によって異なりますが、相手先企業のシステム構築に携わることもあるため、要件定義や設計などの上流工程の経験、システムエンジニアやプロジェクトリーダーなどの経験があったほうがよいでしょう。
-
コンサル・営業としてのスキル
コンサルタントや営業として働いていた方は、そのスキルを活かしてプリセールスとして働きやすいでしょう。しかし、自社製品はもとよりIT系の基本的な知識も必要になるため、後述するITパスポートや基本情報技術者などの資格取得を通して勉強を続ける姿勢が肝要です。
-
ヒアリングスキル
一般的なビジネスにも共通するものですが、相手の要望や潜在的なニーズを引き出すヒアリングスキルがあるとプリセールスの業務に活かせます。また、ヒアリングスキルは相手先企業だけでなく、自社の営業担当者やエンジニアとのやり取りでも必要になります。ヒアリングスキルを磨き、相手の真意をしっかりと確認することは課題解決案にも影響するため、重要なスキルといえるでしょう。
-
プレゼンスキル
プレゼンの経験がある方は、そのスキルをプリセールスでも活かせます。プリセールスのプレゼン目的は、相手に自社製品やサービスのメリットを理解して貰い、契約を結ぶことにあります。そのため、わかりやすく説明をするための資料作りや、システム開発であればシステムのデモを作成する場合なども出てきます。経営層と商談をおこなうこともあるため、プレゼン内容や伝え方なども含め、しっかりとした対応が必要です。
-
マネジメントスキル
プリセールスは契約したプロジェクトを滞りなく遂行するためのマネジメント力も必要になります。自社の状況を鑑みて契約をしたサービス内容や期間、予算などは、トラブルの発生によって変更を余儀なくさせる場合があります。そのため、プロジェクト全体の進捗を適宜確認し対応することや、必要であれば相手先企業と交渉をする場合も出てきます。マネジメントの経験があれば、そのスキルを活かせるでしょう。
-
プリセールスに活かせる資格
プリセールスになるための資格などはありません。しかし、資格取得を通した学習により、プリセールスとしての能力が上がる可能性があります。また、資格を取得することで客観的なスキル・知識の証明にもなるため、転職時の判断材料としてプラスに働くことが期待されます。この項では、プリセールスに活かせる資格を5つお伝えします。
-
ITパスポート
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催している国家資格です。IPAは『情報処理技術者試験』という資格群を設けており、試験内容に応じてレベル1〜4に区分しています。ITパスポートはレベル1に該当し、情報処理技術者試験の入門資格といえるでしょう。実務レベルでの知識を深めるというよりは、ITに関する一般的・初歩的な知識を証明するものになります。IT未経験者は、まずはITパスポートの資格を取得し、次に紹介する基本情報技術者試験、応用情報技術者試験へと進んでいきましょう。
※参考:ITパスポート試験
-
基本情報技術者
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催している国家資格で、レベル2に区分されています。基本情報技術者試験は、エンジニアとしての基礎的な内容が問われる試験となっており、コンピューターやサーバー、データベース、プロジェクトマネジメント、プログラミング言語など、IT業界で仕事をするうえで必要になる知識が網羅されています。
基本的な知識の有無で問題への対処法や着眼点が変わってくるため、すでに働いているエンジニアがより広域かつ体系的な知識を身につけるうえでもおすすめできます。また、基本情報技術者試験は2023年4月から試験内容が一部変更されることが決定しています。
※参考:制度の概要:基本情報技術者試験
-
応用情報技術者
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催している国家資格で、レベル3に区分されています。IPAの公式サイトでは、『ワンランク上のITエンジニア』と説明されており、見方によっては高難易度の資格試験と判断できます。毎年の合格率は20%前後となっており、基本情報技術者試験までにはなかった記述式の問題も出題されます。応用情報技術者の資格を取得すれば、自身が対応できる業務範囲が広がるだけでなく、対外的な評価が上がることも期待できます。
※参考:制度の概要:応用情報技術者試験
-
PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
PMP(Project Management Professional)とは、米国のPMI(Project Management Insitute|プロジェクトマネジメント協会)という一般社団法人が認定する国際資格で、合格することによりプロジェクトマネジメントの実力を証明することができます。受験をするためには、プロジェクトマネジメントの実務経験や35時間の研修などの条件があるため、現職で働いているエンジニアやプリセールスが利用する資格試験です。また、資格を取得したあとも3年ごとの更新が必要になっています。
※参考:PMI® 試験・資格について|一般社団法人 PMI日本支部
-
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)
MOS(Microsoft Office Specialist)とは、WordやExcel、PowerPointなどのMicrosoft製品の利用スキルを証明できる民間資格です。相手先企業によっては、Microsoft製品と連携をしたシステム開発なども考えられるため、MOSを取得することで対応領域が広がる可能性があります。また、ExcelやPowerPointを活用することでデータの整理や資料作りの効率化にもつながるため、プリセールスの方にもおすすめできる資格です。
※参考:MOSとは|MOS公式サイト – オデッセイ コミュニケーションズ
-
プリセールスのキャリアパス
プリセールスのキャリアパスとしては、ITコンサルタントやシステムコンサルタント、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーなど、エンジニア系の知識を基本とした職業を挙げられます。また、営業職のスキルを基本として考えた場合、セールスマネージャーを目指すこともできるでしょう。プロジェクトマネージャーについては説明している記事がありますので、よろしければこちらもご確認ください。
関連記事:プロジェクトマネージャーとは?必要なスキルと資格を紹
-
プリセールスの将来性
IT業界は技術進化により職業が複雑かつ専門的になる傾向があります。そのため、外資系企業を中心に活躍していたプリセールスも専門職として認知されるようになり、現在では日本企業でのニーズも増加しています。実際に、弊社R-Stoneのプリセールス求人件数は156件あり、データサイエンティスト65件、セキュリティエンジニア26件、フロントエンドエンジニア85件、バックエンドエンジニア33件など、他の専門職よりも求人数が上回っています。
また、インターネット上の求人情報を見る限り、この傾向は他社でも近しいものがあり、今後も需要が増加していくのではないかと予想できます(2022年11月現在)。エンジニアや営業職のキャリアプランとして、プリセールスを視野に入れることも選択肢のひとつといえるでしょう。
-
まとめ
プリセールスはエンジニア職でありながら、営業活動を通したビジネススキルが必要になるため、難易度の高い職業だといえます。しかし、相手先企業との折衝を通して通常のエンジニア職では体験できないやりがいや、今後のキャリアの選択肢も広げられるでしょう。また、他のエンジニア職種と比べて年収が高い傾向があるため、その点も大きな魅力のひとつです。弊社R-Stoneでは、上述したようにプリセールスを募集している企業も多数ありますので、少しでも興味がありましたらご遠慮なくご相談ください。