フロントエンドとバックエンドの違いとは?仕事内容も解説!
エンジニアになろうと情報を集めていると、Web系のシステム開発ではフロントエンドとバックエンドで分かれていることを理解していくと思います。しかし、両者の仕事内容や必要になるスキルの具体例、開発の流れなどはどうでしょうか。この記事では、それらの内容を混同しやすい情報と比較しながら解説しています。ぜひともご確認ください。
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Contents
フロントエンドとは
フロントエンドとは、WebサイトやWebアプリケーションでユーザーがパソコンやスマートフォンなどの端末から目にする部分のことをいいます。一般的な説明はそのようになりますが、スマートフォンアプリやデスクトップアプリなどの目に見える部分をフロントエンドとも説明可能です。また、この点もわかりにくくなりますが、「フロントエンド開発」という言葉になると、Web系開発の意味合いが強くなるので注意しましょう。
フロントエンド開発に関連する職業としては、HTMLとCSSなどを利用してコーディングをする「コーダー」(マークアップエンジニアともいわれる)、それらを含むフロントエンド開発をする「フロントエンドエンジニア」、UI/UXに特化したエンジニアの「UI/UXエンジニア」、フロントエンドのデザインをする「Webデザイナー」などがあります。各種職業やフロントエンドの内容について解説している記事がありますので、詳細はこちらをご覧ください。
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バックエンドとは
バックエンドとは、WebサイトやWebアプリケーションのユーザーに見えない部分を指します。Web系のシステムでは、バックエンドのWebサーバーやデータベースサーバー(データベースと略されることが多い)などからデータを取り出してフロントエンド側に情報を表示させています。また、ユーザー認証や顧客情報、オンライン決済など、ユーザーがWebサイトにアクセスするだけでなく、何らかの管理が必要なものの処理は主にバックエンドでおこないます。(支払いや認証APIなどはフロントエンドでも実装可能です。)
加えて、ユーザーの目に見えない部分を指して「サーバーサイド」という言葉が使われることがあります。サーバーサイドもバックエンドと同じような職務領域となり、両者に明確な違いはありません。しかし、フロントエンドの対義語としてバックエンドと呼称するケースが多くなっているため、Web系企業が一般ユーザー向けに開発したシステムではバックエンド、企業内のWebを利用した基幹システムなどではサーバーサイドといわれる傾向があります。
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フロントエンドとバックエンドの違い
フロントエンドとバックエンドの違いを3つお伝えします。
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開発する領域
それぞれで説明をしたように、フロントエンドはWebサイトやWebアプリケーションなどでユーザーが目にする部分を開発し、バックエンドはフロントエンドと連携したシステムとして、Webサーバーやデータベースなどのユーザーの目に見えない部分の開発をします。
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使用するプログラミング言語
フロントエンド開発では、HTML、CSS、JavaScriptが必須の言語となっています。また、厳密にはHTMLはマークアップ言語といい、 Webサイトの基本的な構成や文字の表示をおこないます。CSSはスタイルシート言語といい、HTMLで作成した文字や構成の色、レイアウト、サイズなどを装飾する言語です。JavaScriptは、HTMLとCSSで作成した Webサイトの動きを付けるプログラミング言語です。基本的にはこの3つが利用されますが、データベースで取得した内容を表示する際などは、以下で紹介するバックエンドの言語を使います。
バックエンド開発では、Java、Ruby、Python、PHP、Go言語、C++など、さまざまなプログラミング言語が利用されます。それぞれの言語で同じようなシステムを開発できますが、言語によって得意分野や特徴が異なっており、利用するシステムに適したものや自社内エンジニアが開発できる言語、プログラミング言語やライブラリ、フレームワークの将来性などを基準として、プログラミング言語を選択をします。
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開発の流れ
フロントエンドとバックエンドは開発領域が異なるため、開発の流れも違います。この項では、それぞれの工程を説明します。
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フロントエンドの場合
フロントエンド開発も広義でとらえるとシステム開発に分類されるため、企画や設計、実装、テストなど、システム開発で共通する工程が存在します。しかし、ユーザーの目に見える部分の開発なので、「デザイン」や「UI設計」が関わってくる点がバックエンドと大きく異なっています。基本的な流れは以下のとおりです。
①仕様書や設計書をもとにデザインをし、「画面全体の初期設計」を作成
②ヘッダーやフッター、ボタンなどの繰り返し使われる「共通パーツ(コンポーネント)の定義」
③ボタンクリックなど、ユーザーからの要求に対する「アクションやレスポンスの定義」
④ここまでの工程を踏まえ、「HTMLやCSSでマークアップ実装」
⑤システムによってはAPIやバックエンドとの連携も織り込んで、「JavaScriptやTypeScriptで実装」
⑥Webブラウザ上で想定通りに動き、不具合がないかを確認する「ブラウザ検証」
以上の工程を経て、WebサイトやWebアプリケーションはリリースされます。また、企業やプロジェクトによっては仕様書や設計書を作り込まずに開発している情報も見受けられます。
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バックエンドの場合
バックエンド開発も、フロントエンドと同じくシステム開発の一環となります。しかし、フロントエンド開発とは違いデザイン設計などは入っておらず、システムエンジニアと同様の業務工程になります。基本的な流れは以下のとおりです。
①どのようなシステムを開発するかを決める「要件定義」
②要件定義に基づき、利用するハードウェアやソフトウェア、画面の構成などを定める「基本設計」
③基本設計書に基づき、システム開発で利用する技術やプログラムの内容などを選定する「詳細設計」
④詳細設計書の内容を実際のシステム構築に落とし込んでいく「開発」(プログラミングや実装などともいわれる)
⑤作成したシステムの動作を確認する「テスト」
⑥テストで問題のなかったシステムを公開する「リリース」
⑦リリース後のシステム管理をおこなう「運用・保守」
以上の工程がバックエンドエンジニアの開発の流れです。また、各種工程の詳細な内容はシステムエンジニアの関連記事にまとめています。加えて、要件定義は非常に重要な工程となっているため、詳細をひとつの記事にまとめて紹介しています。こちらもぜひご確認ください。
関連記事:システムエンジニア(SE)とは?仕事内容・プログラマーとの違いや平均年収などをご紹介
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求められるスキル
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアに求められるスキルをお伝えします。
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フロントエンドエンジニア
上述したように、HTML、CSS、JavaScriptは必須スキルとなります。また、企業のWebサイトなどを簡単に作成できるWordPressというCMS(Contents Management System)がPHPで作られており、PHPを使用すればカスタマイズが可能になるため、覚えておくと対応領域が広がります。
加えて、近年ではReact、 Vue.js、Angular、Bootstrapなどのライブラリやフレームワークが利用されており、特にReact、 Vue.jsを用いた開発では、JavaScriptの上位互換言語であるTypeScriptが利用される傾向があります。さらに、Reactが流行する前の主流だった、JQueryもまだまだ現場で利用されている状況です。
必須スキルであるHTML、CSS、JavaScriptを覚えたあとに選択するスキルは、目指す方向や就職・転職したい企業の状態によるかと思います。また、Webデザイナーに自身が転身したい場合はもちろん、フロントエンドエンジニアとしてWebデザイナーとのやりとりをおこなうケースもあるため、PhotoshopやIllustratorの基本操作スキルがあるほうがよいでしょう。
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バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアでは、JavaやPython、Ruby、Go言語などのプログラミング言語のスキルが必要になります。また、開発効率を上げるためにライブラリやフレームワークもよく用いられるため、各種言語で需要の高いものを覚えたほうがよいでしょう。
加えて、バックエンド開発はWebサーバーやデータベースを利用してデータのやり取りをおこないます。Webサーバーやデータベースはソフトウェアなので、環境を構築するためにはOSの知識もある程度必要になり、Webサーバー、データベース、OSにもそれぞれ種類があります。さらに、データベースを扱うにはデータベース言語のSQLも覚えなくてはいけません。
また、フロントエンドや外部サービスとの連携にはAPI、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドサービスでシステムを構築する手法も増加しており、これらにもそれぞれ種類があります。さらに、コンテナ仮想化という技術でOSレベルで仮想化する、Dockerというプラットフォームが利用されるケースも増えてきています。
バックエンドエンジニアを目指す場合、まずは何かしらのプログラミング言語を覚えることから始まります。参考書や学習サービスなどを一通り終える頃には関連する知識がついているはずなので、そこから自身の方向性に沿って、覚えるスキルを選択していきましょう。
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フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの平均年収
弊社R-Stoneのフロントエンドエンジニア求人件数は107件、平均年収は約489.7万円です。これに対して、バックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニアという表記を含む)求人件数は127件、平均年収は約487.4万円となっています。双方とも求める人物像で報酬は異なり、プロジェクトリーダーや複数スキルを要する案件では、年収1,000万円を超える求人も多数存在しています。
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フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの将来性
2019年3月にみずほ情報総研株式会社から公開された「- IT 人材需給に関する調査 -」では、IT人材不足が大きく推移した場合、2030 年に 78.7 万人のエンジニアが足りなくなるという試算が出ています。この結果は、IT業界全体でエンジニア不足の傾向が続くことを示唆しているため、フロントエンドエンジニアもバックエンドエンジニアも将来性は高いでしょう。
しかし、何事にも当てはまる話にはなりますが、両者ともに企業や現場で必要とされる知識やスキルがないと淘汰される可能性が否めません。ここ数年でITスキルを身につけるWebサービスやプログラミングスクールなども増加しており、エンジニア需要が高まっていることを知っている方も多くいらっしゃる状況です。そのため、エンジニア人口が増加し、簡単な業務内容であれば代わりが効くようになることで、競争率が高くなるかもしれません。
そのような理由から、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアで求められる基本的なスキルに加え、よりよい条件で仕事を得るためにはそれぞれの項目で記載した、関連スキルも積極的に覚えていく必要があるでしょう。また、IT業界の技術は移り変わりのペースが早いので、新しい情報、流行している技術へのキャッチアップも大切です。
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まとめ
フロントエンドとバックエンドはWeb系サービスのシステム開発でよく利用される区分です。それぞれに必要なスキルが異なりますので、違いをよく理解したうえで自分の目指す方向を決定しましょう。