PHPとは?メリット・デメリット、学習方法などを徹底解説
プログラミング未経験者が最初の言語を選ぶとき、PHPはほとんどの方の候補に上がってくるものだと思います。この記事では、PHPの特徴やできること、メリット・デメリット、HTMLやJavaScriptとの違いなども説明しています。知識を得ることで今後の学習計画なども変わってくるかと思いますので、ぜひともご参考ください。
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Contents
PHPとは
PHP(ピー・エイチ・ピー)とは、1995年にリリースされたオブジェクト指向のスクリプト言語です。 文法が簡単で難易度が低く、学習環境も充実しているため、プログラミング初心者が最初に覚える言語として人気があります。また、PHPは他のプログラミング言語と違い、Webアプリケーション開発に特化しているので、組み込みシステムやスマートフォンアプリなどの開発はできません。
しかし、LaravelやCakePHPといった開発効率を上げられる有名なフレームワークがある、PHPの文法に柔軟性があり扱いやすい、などの理由から、 得意分野であるWebアプリケーション開発で多く利用されています。加えて、PHPは訪問者や時間帯などでWebサイトの情報を変えられる、動的Webページの作成も可能です。
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HTMLとの違い
HTMLとは、Webページの文字や画面構成などの作成ができる言語で、マークアップ言語といいます。PHPはプログラミング言語なので、最も大きな違いは「言語の種類が違う」ということです。HTMLはブラウザから訪問したWebサイトのほぼすべてで利用されており、Webサイトのユーザーから見える部分(フロントエンド)の基本です。また、フロントエンド開発では、HTML、CSS、JavaScriptが必須のスキルになっています。
それに対してPHPは、ユーザーから見えない部分(バックエンド)で利用されるプログラミング言語です。バックエンドでは、 サーバーやデータベース、外部サービスなどとの連携やプログラムを構築するために、OSやネットワークなどの知識が必要になる場合もあります。HTMLとPHPは 、Webサイトなどで違う部分の開発を担当していると覚えておきましょう。また、PHPはHTMLファイルのなかに埋め込めるようになっており、フロントエンドにデータベースから取得した情報の表示がしやすい、管理がしやすいといったメリットもあります。
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JavaScriptとの違い
上述したように、JavaScriptはフロントエンド開発の必須スキルであり、特徴のひとつに、Webページに動きをつけられることが挙げられます。
HTMLでWebページの文字や構成を作成し、CSSでそれらを装飾することができますが、それだけだと現在のWebサイトは物足りないものになってしまいます。例えば、JavaScriptで実装していなかった場合、メニューアイコンへマウスオーバーをしてメニュー内容を展開するような、動きのあるWebサイトが作れません。 ブラウザ上で動きを付けるときに、JavaScriptは必要になります。
ここで、PHPもWebページに動きを付けることができるじゃないか、と思われる方も多いかと思います。PHPもJavaScriptも動的Webページを作る点は共通していますが、データが処理される場所が違います。JavaScriptはブラウザで、PHPはバックエンドです。
また、JavaScriptは個々人のブラウザ上で動作をするため、ユーザーひとりひとりの操作によって動く、ブラウザ上の情報だけで処理ができるWebページを作成できます。それに対してPHPは、掲示板などの他のユーザーと共有するべき情報や顧客情報を、データベースなどと連携して動的Webページを作成するという特徴があります。
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PHPでできること
PHPでできることを2つお伝えします。
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Webアプリケーションの開発
上述したように、PHPは Webアプリケーション開発に特化したプログラミング言語です。Webアプリケーションとは、 Web(ブラウザ)上で動作をするアプリケーションのことで、ユーザーとWebアプリケーションの間に、商品の購入や検索、コメントの入力などといった双方向性のやりとりがあるものを指します。古いタイプのコーポレートサイトのように、画面表示上のアイコンなどが動かない、情報提供を主目的としたWebサイトとは異なります。
PHPで作られた有名なWebアプリケーションには、「ぐるなび」、「Wikipedia」、「Slack」、「ここなら」、「CAMPFIRE」などがあり、小規模開発から大規模開発まで幅広く利用されています。
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CMS(Contents Management System)のカスタマイズ
CMSとは、プログラミング言語を利用しなくても、簡単にWebサイトが開発できるツールのことです。CMSのなかでも有名なWordPressはPHPで作られているため、PHPを利用してWordPressの機能追加がおこなえます。また、自社のWebサイトをWordPressで作成している企業も見受けられ、フロントエンドエンジニアの方はHTML、CSS、JavaScriptに加えて、PHPとWordPressのスキルを持っていたほうが仕事の獲得がしやすくなります。
フロントエンドエンジニアについてまとめている記事がありますので、よろしければこちらもご覧ください。
関連記事:フロントエンドエンジニアになるための方法とは?未経験からの転職や必要なスキルをご紹介
フロントエンドエンジニアに必用な言語4選 | フレームワーク・ライブラリなどもご紹介
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PHPのメリット
PHPのメリットを5つお伝えします。
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環境構築が簡単
PHPはWindows、macOS、LinuxなどのOSに対応しているクロスプラットフォームとなっており、専用のエディタやIDEもなく、メモ帳やテキストエディタでも開発することができます。また、PHPはオンライン環境での実行やXAMPPまたはMAMPのインストールで手軽に環境構築が可能です。XAMPPやMAMPはJavaの実行環境であるJVM(Java Virtual Machine|Java仮想マシン)と同じようにインストールが必要ですが、JVMより簡単に設定をすることができます。
プログラミング言語の学習では、実行環境の構築でつまづいてしまうこともあります。そのため、PHPのように環境構築が簡単なものは、その分学習しやすいといえるでしょう。
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学習教材・開発実績が豊富
オーストリアのソフトウェア品質管理コンサルティング会社「Q-Success」の調査では、PHPはサーバーサイドで利用されるプログラム言語の世界No.1シェアとなっています。また、WordPress.comの発表では、Webサイトの43%がWordPressで開発されているとの情報もあるため、PHPは世界的に見てもWebサイトやWebアプリケーションで広く利用されているプログラミング言語といえるでしょう。
日本でもPHPの人気は高く、PHP自体の学習教材はもちろんのこと、LaravelやCakePHPといったフレームワークの資料も充実しています。学習難易度が低く、学習環境も整っているため、PHPは初心者が一番最初に学習するプログラミング言語としてもおすすめできます。
※参考:Webサイトのサーバー側プログラミング言語の使用統計における過去の年間傾向
WordPress.com:高速、安全に管理されているWordPressホスティング
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需要が高い
学習教材の項でお伝えしたように、PHPは需要が高い言語です。弊社R-StoneのPHPの求人件数は210件あり、Javaの480件、JavaScriptの238件、Pythonの233件に次ぐ4番目の規模となっています。学習難易度が低いため言語自体の習得スピードが速く、需要があるため転職や就職もしやすくなっているので、未経験からエンジニアに転職する際にもおすすめです。(2022年1月13日現在)
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データベースとの連携が簡単
PHPはMySQLやPostgreSQLなどのデータベース連携を簡単に設定することができます。特にWebサーバーであるApacheと連携してデータを処理する場合、Apache内に処理プロセスが搭載されているため高速な動作が期待できます。また、上述したように、HTMLファイルにPHPを組み込むことができるため、データベースで取得した商品情報や飲食店の予約状況などをフロントエンドに表示することもできます。
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有名なフレームワークがある
フレームワークとは、システム開発をするために必要な機能が揃っている雛形や枠組みのことです。フレームワークを利用することで開発効率を上げることができるので、システム開発時はフレームワークの選定も含めて設計書などが作られます。
PHPにはLaravelやCakePHPという有名で開発実績が豊富なフレームワークがあり、現在ではLaravelが特に利用されています。他のプログラミング言語では、言語を代表するフレームワークがない場合もあるため、この点もPHPのメリットになります。
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PHPのデメリット
PHPのデメリットを3つお伝えします。
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セキュリティが弱い
PHPは不完全なコードでもプログラムが実行できてしまうため、しっかりとしたセキュリティ対策を自身でおこなう必要があります。また、PHPの言語自体と有名フレームワークで、過去にはシステム上の脆弱性が指摘されてきました。そのため、アップデート情報のチェックも欠かすことができません。
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自由度が高い
プログラミング言語としての決まりが少ないため、PHPは自由にコードの記述ができます。この点はメリットとしても挙げられますが、デメリットとしては、コードの統一性がなくなるため管理がしにくいシステムになる危険性があります。複数人でひとつのシステムを開発する際は、コード記述のルールを定めておかなければなりません。
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Webアプリケーション以外の開発に不向き
PHPはWebアプリケーションに特化したプログラミング言語となっているため、他の分野の開発には向いていません。プログラミング言語としての汎用性は低くなってしまうため、Webアプリケーション以外のシステム開発をする場合は他の言語を利用・習得する必要があります。
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PHPの基本的な記述ルール
PHPの基本的な記述ルールをお伝えします。
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開始タグと終了タグを付ける
PHPでコードを記述するためには開始タグと終了タグが必要です。開始タグは、
<?php
で、終了タグは、
?>
と、なります。
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最後にセミコロンを付ける
PHPでは、コードの最後にセミコロン【;】も必要になります。Hello Worldの表示をさせるときのコードは以下となります。
<?php echo “Hello World!”; ?>
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拡張子を「.php」にする
拡張子とは、該当ファイルの種類を表すもので、HTMLファイルだと【○○○.html】、JavaScriptファイルだと【○○○.js】といった具合に、内容によって拡張子も異なります。PHPファイルの場合は【○○○.php】となり、違う拡張子を使ってしまうとコンピューターがPHPファイルだと認識してくれません。
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PHPで開発されたサービス例
PHPで開発されたサービスを4つお伝えします。
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ヤフー
2009年の情報となりますが、ヤフーのWebサイト開発でもPHPは利用されているようです。理由としては、PHPエンジニアが米国に多かったこと、PHP開発者であるRasmus Lerdorf氏がヤフーに在籍していたことなどが挙げられています。
※参考:PHPとYahoo!の意外なカンケイ – Yahoo! JAPAN Tech Blog
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Facebook
Facebookの最初期では、PHPが開発言語として利用されていました。しかし現在では、PHPをもとにFacebook社(現Meta社)が独自開発をしたHackというプログラミング言語に代替されています。
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ぐるなび
ぐるなびのサービスは、PHPフレームワークのLaravelで開発されています。ぐるなびの担当エンジニアブログも公開されていますので、気になった方はこちらもご確認ください。
※参考:Laravelの開発で感じたメリットとデメリットをまとめてみた
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WordPress
上述してきたように、CMSで有名なWordPressはPHPで開発されています。また、日本ではそれほど知られていませんが、同じCMSのDrupalもPHPで開発されています。
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PHPの需要・将来性は?
PHPは現在の需要が高いため、すぐに利用されなくなる可能性は低いでしょう。しかし、近年ではPythonやGo言語などを利用したWebアプリケーション開発も増加傾向にあり、PHPの代替言語として、これらがシェアを広めていくと予想することもできます。
そのためPHPは、需要が大幅に下がることはないが利用率が減少する可能性があるプログラミング言語、だと判断できます。このような状況から、PHPを習得したあとは、他言語の学習を検討してもよいかと思います。
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PHPを使った仕事の年収相場
弊社R-StoneでのPHP求人の平均年収は約446.6万円、最高推定年収は2,000万円となっています。価格帯としては、400万円台が85件、500万円台が64件と多くなっており、この金額が年収のボリュームゾーンです。それ以外の特徴としては、PHPを利用したバックエンド開発とフロントエンド開発の求人が混在していることです。
PHPを習得することに変わりなくても、フロントエンドとバックエンドで必要な知識が異なるため、学習者は自身がどちらのエンジニアになりたいかも検討したうえで勉強をしていきましょう。
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PHPに関連する資格
PHPに関連する資格を2つお伝えします。
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PHP技術者認定試験
PHP技術者認定機構(Engineer Certification Corporation for PHP)が主催をするPHPの資格試験です。難易度別に「初級」、「上級/準上級」、「認定ウィザード」に分かれており、初級はPHPの基礎を、上級/準上級はPHPを実務レベルで利用できるスキルを証明できます。認定ウィザードは文章を提出して合否が判断される試験となっており、実務レベルでどの程度役に立つかは未知数ですが、転職時などで評価されることは間違いないでしょう。受験費用は、初級が12,000円(税抜)、上級/準上級が15,000円(税抜)、認定ウィザードは無料になっています。
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Zend PHP Certification
Zend社が主催をしているPHPの国際試験です。Zend PHP Certificationは英語での受験となり、合格率なども公開されていません。試験の難易度はそこまで高くないとの情報も見受けられますが、試験内容を見る限り幅広い分野から出題されるため、しっかりとした勉強が必要になるでしょう。受験費用は195米ドルとなっています。
※参考:PHP Certification Exam | Zend by Perforce
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PHPの学び方
PHPの学び方を3つお伝えします。
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学習サイトで学ぶ
PHPは、学習サイトや学習サービス、YouTube内の動画などがたくさんあります。学習サイトやYouTubeは無料、学習サービスも月額1,000円程度で利用できるものがあるため、自分のペースでなるべく安く勉強したい方におすすめの方法です。また、最初のうちは動画などの視覚情報で概要をつかみ、そのあとに書籍で学習する方法もおすすめします。
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書籍で学ぶ
PHPは書籍も多くなっているので、自分の好みに合った参考書を選ぶこともできます。書籍での学習は学習サイトなどより全体像が把握しやすく、体系的な知識を得やすくなります。少なくとも一冊は購入し、プログラミングをしていきましょう。
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スクールで学ぶ
学習サイトや書籍などに比べると費用がかかってしまいますが、効率的な学習がしたい場合はスクールに通うことをおすすめします。また、プログラミングスクールによっては、厚生労働省が実施している「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」で金銭の支援を受けられます。こちらの制度についても調べたうえで応募してください。
※参考:教育訓練給付制度 – 厚生労働省
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まとめ
PHPは、プログラミング未経験者の方が最初に勉強する言語としておすすめできます。PHP言語を習得すれば、即戦力として参入できる案件もあるため、ある程度勉強が進んだら、就職・転職活動をしていきましょう。また近年、企業は複数のプログラミング言語を利用してシステム開発をしている場合も多くなっています。PHPを習得したあとは、転職先企業が利用している言語やニーズが高まっているPythonやGo言語などを勉強することもおすすめします。