プログラミング言語【Ruby】とは？Rubyの特徴や使用の注意点を解説

ruby言語の特長は簡潔な記述でコードが読みやすくプログラマーに優しいことです。以下で言語の魅力や著名サービスでの利用例、学習方法や使うメリットをご紹介します。PHPやPythonとの違いやRuby on RailsとRubyの違いも見ていきます。

1. Contents

   • 1 Rubyとは
     • 1.1 Ruby on Railsとの違い
     • 1.2 PHPとの違い
     • 1.3 Pythonとの違い
   • 2 Rubyで開発するメリット
     • 2.1 オブジェクト指向言語である
     • 2.2 コードの記述量が少なくわかりやすい
     • 2.3 汎用性が高い
     • 2.4 初心者でも習得しやすい
   • 3 Rubyで開発するデメリット
     • 3.1 インタプリタ方式で実行速度が遅い
     • 3.2 コーディングのルールを設ける必要がある
   • 4 Rubyでできること
     • 4.1 Webアプリケーション開発
     • 4.2 Webサービス・サイト制作
     • 4.3 スクレイピング
     • 4.4 API開発
   • 5 Rubyで開発された代表的なサービス
     • 5.1 Twitter
     • 5.2 hulu
     • 5.3 クックパッド
   • 6 Rubyの学び方
     • 6.1 学習サイトで学ぶ
   • 7 Rubyの学び方
     • 7.1 書籍で学ぶ
     • 7.2 プログラミングスクールに通う
   • 8 Rubyの需要・将来性は？
     • 8.1 スタートアップやベンチャー企業で多く採用されている
     • 8.2 Webサービス開発での需要が高い
   • 9 Rubyを使った仕事の年収相場
   • 10 まとめ
   

   Rubyとは

Rubyはまつもと ゆきひろ氏によって開発されたプログラミング言語です。1995年の公開から日本だけでなく世界中のプログラマーに支持されており、Webアプリケーションの普及にともないサーバーサイドの開発でもポピュラーな言語となりました。著名なWebサービスでも採用されており、機能性や開発者にとっての使いやすさに優れています。

特徴は、オブジェクトをすべての中心に置き、簡潔な記述でコードが読みやすい点です。 また当時まだUnicodeが普及していなかったことでアジア系言語に多く見られる文字コード（エンコーディング）の扱いの問題を日本人が開発したRubyでは扱いやすくなっていたのもありがたい点でした。

1. Ruby on Railsとの違い

Ruby on Rails（RoR、Railsなどと略されます）は、Ruby言語で構築されたWebアプリケーションのフレームワークです。 フレームワークとは、特定分野のアプリケーションソフトを開発する際に頻出する処理のパターンや定型的な処理をパッケージにしたものです。アプリケーションソフト開発時に、ゼロからソースコードを記述する手間を省くとともに、多くのプログラマーが間違えやすい処理に一定の基盤を提供するなど、品質を担保するうえでも役に立つ規約やソースコードをひとまとめにした物です。

Ruby on Railsは、各種のWebアプリケーション・webサイトのサーバーサイドでのロジックやデータベース処理をシンプルに記述でき、設定よりも規約を重視したフレームワークとなっています。Java言語に多く見られる、柔軟性は高いものの煩雑な設定が求められるライブラリに対し、Railsは少しの設定ですぐ動くアプリケーションが記述できます。

既定の規約に沿っている限り設定は少なく済むため、小規模プロジェクトでは少ないコードでアプリケーションを構築できます。また、大規模なアプリケーションでは必要に応じて設定をおこなうことで、規約とは異なるセッティングでもアプリケーション開発ができます。

Ruby on Railsは使いやすさから多くの支持を集め、Ruby言語の知名度を大きく引き上げました。その後、Ruby以外の言語でもRailsの使いやすさにインスパイアされた多くのWebアプリケーションフレームワークが登場しました。

1. PHPとの違い

PHPはWebアプリケーションで使用されることを前提として登場した言語です。HTMLに埋め込み、素早くサイトにプログラムを組み込めることが特長です。

PHPはWebアプリケーションでの採用が多く、また、レンタルサーバー等の環境でも、PHPさえ動けばPHPに組み込まれたさまざまな機能を利用できることから、動作するサーバーを選ばないことも使いやすい点です。

PHPに対し、RubyはWebアプリケーションで使用されることを前提としない汎用の言語です。日常的なデータ処理やPerl等のような簡潔なスクリプト言語としての用途から、サーバー管理、通信などさまざまな分野で使えます。

1. Pythonとの違い

PythonはRubyと同じく、汎用性の高いプログラミング言語です。コードの字下げに特徴があり、視覚的な読みやすさを備えています。

Rubyはあらゆるものがオブジェクトとなっており、Pythonはオブジェクト指向の機能がオプションである点がRubyと異なります。比較的Pythonのほうが冗長な記述になりやすく、コードの読みやすさの点では一長一短があるため、好みが分かれるかもしれません。

Pythonは近年、機械学習ライブラリが充実しているため、ディープラーニングやデータ分析をする際におすすめです。

1. Rubyで開発するメリット

Rubyで開発すると、他のプログラミング言語と比べてどのような良さがあるのでしょうか、代表的な特徴を見ていきましょう。

1. オブジェクト指向言語である

Rubyは数値一つをとってもオブジェクトとなっており、多くのプログラミング言語では数値などの基本要素はオブジェクトではなくデータなため、関数の引数や式の中で操作される客体として使われるだけです。その点、Rubyでは数値などの基本的な物もオブジェクトであり、メソッドやプロパティといったオブジェクト指向の機能を使用できるため、コーディングしやすさや読みやすさなどの恩恵を受けられます。たとえば、関数abcを引数1に対して適用した結果にさらに関数ghiを適用する場合は多くの手続き型言語では

ghi(abc(1))

のような記法を取りますが、Ruby方式では

1.abc.ghi

のような記法になり、関数の適用の連鎖がわかり易く記述できます。

他のプログラミング言語を学ぶ際に、標準ライブラリ（プログラミング言語に標準で付属する機能）に多数の関数一覧を見て驚いたことがあるかもしれません。Rubyではオブジェクトに適用できる関数（メソッド）が明確で、結果もまたオブジェクトとなるためプログラミングの初学者にも理解しやすくなっています。

1. コードの記述量が少なくわかりやすい

Rubyにはオブジェクト指向に沿った記法や、繰り返し処理に対する簡潔な記法が言語自体に用意されているため、Rubyでは多重の括弧やループの中のループなど煩雑な記述を減らすことができます。

そのため、コーディング量が少なくなるだけでなく、書かれたコードの理解しやすさを実現しています。

1. 汎用性が高い

Webアプリケーションのフレームワーク、Ruby on Railsで有名になりましたが、Ruby言語は他にもテキスト処理やデータ分析、アルゴリズム開発や数値計算、通信など幅広い用途に使える言語です。

サーバーサイドでの利用だけでなく、お手元のパソコンで日常業務を自動化したり、webやメール等の通信をおこなったりできます。プログラマーの数だけ応用範囲が広がることでしょう。

1. 初心者でも習得しやすい

Rubyはコードの記述量が少ないため理解しやすい記述となっているだけでなく、言語設計の中核にオブジェクト指向の考えが取り入れられているため、自然にオブジェクト指向でのプログラミングに親しむことができます。

オブジェクト指向と聞くと難しく感じる方もおられるかもしれませんが、堅苦しく考えずにRubyに触れてみると驚くほど自然に処理を記述できることがわかると思います。他の言語では煩雑な記述になりがちなケースでもRubyでは書きやすさに配慮されています。表面的な記述方法に手間を取られることなく、オブジェクトを使って何をするのか、プログラミングの本質となる思考に集中できます。

1. Rubyで開発するデメリット

コードを書きやすいRubyですが、何か問題はあるのでしょうか？ 前項のメリットとも関連するデメリットをいくつか挙げてみます。

1. インタプリタ方式で実行速度が遅い

Rubyはインタプリタ言語です。インタプリタ方式の言語は、書いたコードを実行する際に、都度コンピュータがコードを解釈していくため、コンパイラ型ほど実行速度は速くありません。

Rubyはオブジェクト指向を取り入れており、変数にはあらゆるオブジェクトを代入できます。柔軟な反面、コンパイルによる最適化をおこないにくくしています。プログラマーにとって理解しやすく記述しやすいですが、コンピューターにとっては実行時の効率に影響を与えるものとなっています。

実行時の効率よりもコーディングのしやすさ、メンテナンス性を重視する用途で使うとよいでしょう。逆に実行時の効率に優れた言語としてはGo言語、Scala、C#、Rust、C言語などが挙げられます。

1. コーディングのルールを設ける必要がある

Rubyは文法に関しておおらかです。改行や括弧などを入れても入れなくてもよく、自由に記述でき、Pythonなどとは対照的です。

使い捨てのスクリプトや個人プロジェクトではさほど問題にならないかもしれませんが、複数人で長年運用するアプリケーションを開発する際には、何らかのコーディング規則を設けることが推奨されます。

一定のルールを設けることで、あとから既存コードを見たときにメンバー間での記載の違いに惑わされず、コードの理解度・メンテナンス性が向上します。

1. Rubyでできること

Rubyは汎用性の高い言語であり、スタートアップ企業で採用される例も多いです。使用されている用途を見ていきましょう。

1. Webアプリケーション開発

Ruby on Railsを使って、データベースの作成、ビジネスロジックの記述、Webサイトへの表示、の三層構造のWebアプリケーションを簡単に構築できます。

RailsはRubyを代表するフレームワークです。利用者が多いことから周辺ライブラリも多数登場しており、Webアプリケーション開発をより一層便利におこなえます。

1. Webサービス・サイト制作

RubyはRailsの印象が強いですが、サーバーサイドでの利用やHTMLテンプレートとの相性も良く、Railsを使用しなくてもサーバーで稼働するロジックの記載や、HTML処理に利用できる多くのライブラリが揃っています。

CMSとしての利用や、ドキュメントサイトの構築などにも利用でき、たとえばRuby言語の公式サイトを含む多くのサイトがRuby言語のコンテンツ管理システムで構築されています。

1. スクレイピング

RubyにはWebサイトと通信してデータを取得し、加工できるサードパーティー製ライブラリが豊富にあります。

Selenium プロジェクトや mechanize など他の言語でも定評のあるライブラリを利用したり、簡易的なページに対しては nokogiri などデータ抽出が便利におこなえるライブラリを使用しWebサイトに掲載された情報を手軽に収集・利用できます。

1. API開発

Webアプリケーションのサーバー側でロジックを実行する、APIの開発にもRubyは使用できます。Rubyにはサーバーサイドでリクエストに対応するプログラムを作る環境が整っており、自然な形で効率的なAPIサーバーを構築できます。

ロジックの実現にはRuby on Railsを含む豊富なライブラリが利用できるため、APIを記述するのに向いている言語の一つです。

1. Rubyで開発された代表的なサービス

今まで見てきたとおり、近年のWebサービス開発、なかでもスタートアップ企業のように、比較的小規模で魅力的なサービスを提供する際に、Rubyの備えている開発のしやすさから利用されるケースが見られます。以下ではいくつかの著名なサービスをご紹介します。

1. Twitter

今や社会インフラとして大きな存在感を持つメッセージングアプリTwitterは、2006年の登場以来5年以上Rubyで構築・運用されていました。

現在でもTwitter社では開発言語の一つとしてRubyを使用していますが、 利用者の急増で性能向上が必要となったため、ツイートを検索するサーバー処理にはJavaを使用するようになっています。

1. hulu

国内外の映画やドラマが定額で見放題になる、動画配信サービス大手のhuluは2007年の登場からRuby on Railsで構築されていました。Twitterと同様に、規模の拡大と制作要件の変化に応じて現在ではRuby以外の技術も採用されるようになっています。

1. クックパッド

レシピ投稿・コミュニティサービスのクックパッドはRuby on Railsで構築されました。 開発者自身が2015年に実施した発表ではRails単独で構築したWebアプリケーションとして世界最大（Largest）と謳っています。

1. Rubyの学び方

Ruby言語を学ぶにはスクールに通う方法と自習できるサイトや本を使って学ぶ方法があります。代表的なものをご紹介します。

Ruby言語の理論を学んだうえで実際に書いたコードを動かしてみるためには、お手元のパソコンにRuby処理系をインストールすると便利です。インストールは公式サイトのダウンロード のページをご覧ください。

1. 学習サイトで学ぶ

Ruby言語公式サイトのドキュメント内にある20分ではじめるRuby は初心者向け基礎を解説しています。

また、 同じく公式サイトの TryRuby: Learn programming with Ruby ではお使いのパソコンにRubyをインストールしなくてもブラウザ内でRubyのコードを入力し、動かすができるため、Rubyのコードをすぐに試してみたい方におすすめです。

国内のプログラミング学習サイトのいくつかで、Ruby言語の基礎を無料から勉強できます（高度な事項は有料コンテンツのものがあります）

・Ruby 学習レッスン I | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate[プロゲート] では基本的な式の書き方や条件分岐を学べます。

・CODEPREP | プログラムを書いて動かしながら学ぶ実践型のプログラミング学習サービス や 「Ruby」入門講座一覧 | プログラミング学習サイト【paizaラーニング】 では Rubyを構成する基本的なオブジェクトから、条件分岐・ループ・配列・クラス等の基本を学べます。

・Ruby入門 ～Rubyの開発環境を用意する手順やRubyを使ったプログラミングの方法について解説します～ | Let’sプログラミングでは上記に加えて日付オブジェクトや正規表現などにの例を読めます。

1. Rubyの学び方

   
   Ruby言語を学ぶにはスクールに通う方法と自習できるサイトや本を使って学ぶ方法があります。代表的なものをご紹介します。
   Ruby言語の理論を学んだうえで実際に書いたコードを動かしてみるためには、お手元のパソコンにRuby処理系をインストールすると便利です。インストールは公式サイトのダウンロード  のページをご覧ください。

1. 書籍で学ぶ

Ruby言語を学べる書籍をご紹介します。

• 独習Ruby 新版 | 山田 祥寛 |本 | 通販 | Amazon はプログラミング言語初心者の方でも取り組めるようRubyプログラミングの基礎から実践まで解説されています。
• たのしいRuby 第6版 (Informatics&IDEA) | 高橋 征義, 後藤 裕蔵 |本 | 通販 | Amazon はプログラミング言語に覚えのある方向けにRuby言語での書き方を基礎から解説されています。
• RubyではじめるWebアプリの作り方 | 久保秋 真 |本 | 通販 | Amazon はRubyの基礎を学んだ方が実際にプログラムを組み立てる考え方を学べる書籍です。

Webアプリケーションフレームワーク Ruby on RailsはRuby言語を使えるようになってから取り組みましょう。現行のRails バージョン 7 （2023年1月時点）に対応した学習書はまだ少ないですが、Railsを学べる書籍には以下があります。

・パーフェクト Ruby on Rails 【増補改訂版】 (Perfect series) | すがわらまさのり, 前島真一, 橋立友宏, 五十嵐邦明, 後藤優一 |本 | 通販 | Amazon はRailsの基礎から実践まで一通り学べる書籍です。

・Ruby on Rails 6 実践ガイド (impress top gear) | 努, 黒田 |本 | 通販 | Amazon は Railsの基礎を学んだ方向けに実践的なWebアプリケーションの構築を解説されています。

1. プログラミングスクールに通う

無料サイトや書籍と違って、先生に質問ができたり教室の設備が使えたりするので、忙しい方でもモチベーションを維持しやすい学び方が、スクールに通うという方法です（下記にはオンラインのみの教室も含みます）。一定の期間に集中して学びたい方にもおすすめです。

• Rubyマスター・講座紹介｜オンラインプログラミングスクールCodeCamp は オンラインビデオ通話で書いたコードを見ながら相談できます。
• SAMURAI ENGINEER – 人生を変える超実践型プログラミングスクール は専属の現役エンジニアからrubyを学べます。
• ポテパンキャンプ – Webエンジニア輩出No1プログラミングスクール は現役エンジニアによるコードレビューを受けられるためコードを書く力をアップできます。
• tech boost(テックブースト) – キャリアの幅を広げるテクノロジーコミュニティ はさまざまなキャリアに対応したプログラミングを学べます。
• テックキャンプ(旧テックエキスパート)| No1エンジニア養成プログラム は未経験者からITエンジニアとして転職できる力を学べます。
• Ruby on Railsを学習・勉強する講座/受講者数No.1 | テックアカデミー ではオリジナルのサービスをRailsで構築するまでを学べます。

1. Rubyの需要・将来性は？

Rubyの需要と将来性について解説します。

1. スタートアップやベンチャー企業で多く採用されている

Rubyはプログラマーに優しく、開発のしやすさから、特にサービス立ちあげ初期の開発・改善サイクルをスムーズなものにしてくれるでしょう。

Rubyで開発された代表的なサービスの項目で見てきたとおり、特にスタートアップ企業でのWebサービス作成に採用が多く、著名なWebサービスもRuby on Railsで構築された実績があります。

1. Webサービス開発での需要が高い

Ruby on Railsを中心に、WebサービスやAPIの開発に必要となる関連技術が整備されているRubyは、Webサービスの開発に利用されることが多く、Webサービスを開発する企業での需要が見込めます。

1. Rubyを使った仕事の年収相場

弊社R-Stoneの求人データによると、RubyまたはRuby on Railsを使うエンジニアの予想年収は560万～2,300万円です。

特にサーバーサイドやバックエンド開発にRuby on Railsの経験が求められることが多いようです。

1. まとめ

Rubyの言語としての特徴や、代表的なWebアプリケーションフレームワークであるRuby on Railsの実際の採用例や著名なWebサービスでの利用例を見てきました。

Rubyはさまざまな用途で使用できる言語ですが、Ruby on Railsの登場以降、特にWebサービス開発の現場で使われることが多いようです。Webサービス開発企業への転職・就職を目指している皆さんはRuby言語の習得を検討してみては如何でしょうか。