アグリゲーションとは?意味やサービスの種類・キュレーションとの違いについて解説
「アグリゲーション」という言葉を見聞きして、すぐにピンとくる方はあまりいらっしゃらないかと思います。しかし、アグリゲーションという言葉を利用したWEBサイトやサービスは私たちの身近にあり、多くの方が利用しているもののひとつです。
この記事では、アグリゲーションの意味やアグリゲーションサイトの仕組み、メリットなどを解説しています。ぜひともご確認ください。
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Contents
アグリゲーションとは
アグリゲーション(aggregation)とは、英語で「集合」、「集合体」という意味の言葉で、日本語で利用される際は「複数のものをまとめること・まとめたもの」を指すケースが多くなっています。また、アグリゲーションという言葉自体はIT業界やエネルギー業界でも利用されますが、今回の記事ではアグリゲーションサイトやアグリゲーションサービスを中心に解説していきます。
アグリゲーションサイト・サービスは複数のWEBサイトや企業が運営しているサービスを統合し、ひとつのサービスとして提供するものです。ユーザーやサービス提供事業者ともにメリットのあるものとなり、アグリゲーションサイトでは「indeed」や「Booking.com」、アグリゲーションサービスとしては銀行やクレジットカード会社などの情報をひとつにまとめて使えるサービスなどがあります。
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キュレーションとの違い
アグリゲーションと混同しやすい言葉に、キュレーション(curation)というものがあります。キュレーションは英語で
「人力で情報を収集、整理、要約、公開(共有)すること」
という意味の単語で、アグリゲーションと同じく情報をひとつにまとめる点では共通しています。
しかし、アグリゲーションが機械による収集と表示が大多数を占めるのに対し、キュレーションは「特定の情報をまとめるとともに、情報を見やすいように編集する」ものが多くなっています。そのため、キュレーションをおこなうWEBサイト・サービスの運営者による企画コンセプトや情報の選定などがあり、メディアごとの特色が強くなる傾向があります。
ただし、両者に明確な基準が定義されているものではありません。あくまでそのように識別されることが多いとご認識ください。
※参考:curationの意味・使い方・読み方 – 英辞郎 – アルク
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アグリゲーションサイトの仕組み
アグリゲーションサイトは、扱っているサービスに関する情報をスクレイピング(場合によってはクローリングともいう)という方法で収集し、ひとつのWEBサイトで情報をまとめています。集めた情報は基本的に編集などはせず、それぞれのアグリゲーションサイトにあった表示方法に変更するだけです。
ただ特定の情報をまとめているように見えますが、実はWEB上の情報が膨大にある現代では、アグリゲーションサイトのように情報が一元化されているとユーザーに価値のある情報が提供しやすくなります。
また、そのようなWEBサイトはGoogleなどの検索エンジンに評価されやすくなり、検索上位に表示されることで、ユーザー、情報が掲載される事業者、アグリゲーションサイト運営、それぞれにメリットが生まれる仕組みになっています。
スクレイピングやクローリングについては関連記事で詳しくまとめています。気になった方はぜひともご参考ください。
関連記事:クローリングとは?活用方法やスクレイピングとの違い、メリット・デメリットを解説!
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アグリゲーションサイトのメリット
ユーザー、情報が掲載される事業者、アグリゲーションサイト運営、それぞれの立場からメリットを説明します。
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ユーザー
アグリゲーションサイトは、ユーザーが膨大な情報から必要なものを探し出す時間と手間の削減につながります。ユーザーがWEBサイト内を調べるだけで広く情報を得られることに加え、アグリゲーションサイトは検索結果の上位に表示されやすくなっているため、すぐに見つけられることもメリットになるでしょう。
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情報が掲載される事業者
WEB上の情報があまりにも多くなっているため、事業者がWEBサイトを立ち上げても検索上位に表示されず、ユーザーにリーチできない場合があります。そこで、アグリゲーションサイトのような検索結果上位のWEBサイトに情報が掲載されることで、自社情報をユーザーに届けることができるようになるというメリットが生まれます。また、アグリゲーションサイトをきっかけに事業者のWEBサイトへの流入が増え、ユーザーの増加、検索結果の上昇などにつながる可能性もあります。
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アグリゲーションサイト運営
アグリゲーションサイトは基本的に広告費によって運営されています。広告費が発生するタイミングは運営企業によってさまざまです。例えば、アグリゲーションサイトを経由して情報が掲載されている事業者のサービス利用があったとき、アグリゲーションサイト内で事業者の情報を優先表示するとき、情報掲載事業者とは別のアフィリエイト利用があったときなどとなります。
また、アグリゲーションサイト運営者はWEBサイトのフォーマットを整えていれば、他の事業者の情報を掲載するだけでWEBサイトのコンテンツが埋まることになります。そのため、コンテンツ作成にかける手間を削減でき、他の業務に時間をかけることができるので、この点もメリットのひとつとなります。
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アグリゲーションサイト・サービスの活用例
アグリゲーションサイト・サービスの活用例を3つお伝えします。
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アグリゲーションサイト
アグリゲーションサイトは求人、旅行、不動産など幅広く活用されています。求人では「indeed」や「求人ボックス」、旅行では「トラベルコ」や「Booking .com」、不動産では「LIFULL HOME’S(ライフル ホームズ)」や「SUUMO」などがあります。どのWEBサイトも特定の情報に特化し、必要な情報の比較検討がしやすくなっています。
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アカウントアグリゲーション
アカウントアグリゲーションとは、銀行や証券、クレジットカード、ポイントなどの情報をひとつにまとめ、それらの情報を一元に参照できるサービスのことです。従来は各金融機関などの情報を確認するためにそれぞれのWEBサイトで本人認証をする必要がありましたが、アカウントアグリゲーションでは一度の認証だけで参照できるため、ユーザーにとって利便性の高いサービスといえるでしょう。
また、アカウントの連携にはAPI(Application Programming Interface|他のWEBサイトやWEBアプリケーションの機能を共有するシステム)を利用しています。APIの利用については、日本政府からの要望で金融機関のAPI公開が努力義務とされ、「マネーフォワード」や「マネーツリー」のようなアカウントアグリゲーションを利用する電子決済など代行業者にも金融機関とのAPI連携を求めているようです。日本政府はキャッシュレス化も推進しているため、WEBを利用したアカウントアグリゲーションサービスも拡大していく可能性があります。
※参考:金融機関とのAPI契約状況について – 株式会社マネーフォワード
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リンクアグリゲーション
リンクアグリゲーションは複数のLANケーブル(インターネットへの接続ができるケーブル)をまとめ、ひとつのケーブルとして扱うことで、通信速度の向上や負荷の分散をする技術のことです。IT関係の言葉になりますが、「アグリゲーション」を含む用語としてご認識ください。
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アグリゲーションサイトの例
アグリゲーションサイトとして有名なサービスを3つご紹介します。
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indeed
求人情報のアグリゲーションサイトで有名なものが「indeed」です。indeedはアメリカから始まったサービスですが2012年にリクルートが買収し、現在はリクルートのグループ会社となっています。他の事業者の情報を掲載しているものと、indeed自体が掲載しているものかの基準は公開されていませんが、求人情報の詳細を見ると、「企業採用ホームページ」や「スポンサー」、「マイナビミドルシニア」といった掲載元と思わしき記載がされています。
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Booking.com
Booking.comは、1996年にオランダで始まったオンライン宿泊施設予約サービスです。日本語でのサービスは2005年に開始され、外資系企業の宿泊予約サービスとしては一番長い歴史があります。世界70ヵ国で事業を展開し、オンライン宿泊施設予約サービスでは最大手となっています。
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LIFULL HOME’S
1997年に「HOME’S(ホームズ)」としてサービスを開始した不動産・住宅情報サイトです。日本でもテレビCMなどを通して認知している方が多いかと思いますが、2019年には世界規模でアグリゲーションサイトを運営していたMitula Group Limitedを完全子会社化し、「LIFULL CONNECT」を設立したことで不動産アグリゲーションサイトとして世界最大規模のグループになっています。
※参考:LIFULLは、新会社「LIFULL CONNECT」を設立し、不動産アグリゲーションサイト世界圧倒的No.1企業へ
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まとめ
特定の情報やサービスについて検索エンジンから調べものをするときに、アグリゲーションサイトを利用する機会が多くなっているのではないでしょうか?アグリゲーションサイトはWEB上の検索で根付いてきているものであり、ユーザーや情報が掲載される事業者、アグリゲーションサイト運営にもメリットのあるサービスです。
また、本記事でお伝えしたように、アグリゲーションを用いた言葉は他にもありますが、「複数のものをまとめること・まとめたもの」という意識を持っていればイメージしやすくなるかと思います。アグリゲーションサイトやアカウントアグリゲーションは今後も発展していくと考えられますので、本記事をきっかけにご認識いただければ幸いです。