クラウドサービスとは？メリット・デメリット、具体例などを解説

クラウドサービスという言葉をよく見聞きするようになりましたが、クラウドサービスにもいくつか種類があることをご存知でしょうか？　この記事では、クラウドの説明からはじまり、SaaS、IaaS、PaaSの違い、メリット・デメリットなどを解説しています。ぜひともご確認ください。

1. Contents

   • 1 クラウドとは？
     • 1.1 クラウドの種類
     • 1.2 SaaS
     • 1.3 IaaS・HaaS
     • 1.4 PaaS
   • 2 クラウドでできること
     • 2.1 データのバックアップ
     • 2.2 データの情報共有
     • 2.3 業務の効率化
   • 3 法人向けのクラウドサービス
     • 3.1 kintone
     • 3.2 Google Workspace
     • 3.3 Microsoft Azure
     • 3.4 Microsoft 365
   • 4 クラウドの導入メリット
     • 4.1 低コストで導入できる 
     • 4.2 システム運用の負担が少ない
     • 4.3 環境を選ばずどこでも使える
   • 5 クラウドの導入デメリット
     • 5.1 セキュリティ面に注意が必要
     • 5.2 カスタマイズに制限がある
   • 6 まとめ
   

   クラウドとは？

クラウドとは、クラウドコンピューティングの略称で、インターネットなどのネットワークを経由して、サーバーやデータベースなどのITリソースやアプリケーションなどを利用できるサービス形態のことです。

従来のITリソースは、「オンプレミス（on-premise）」といって自社でハードウェアとソフトウェアを用意し、システム環境を整えることが主流でした。それに対してクラウドでは、クラウドサービスを提供している事業者から、必要となるITリソースやアプリケーションを借りて利用します。

クラウド技術の発達により、従来であればハードウェアの物理的な処理が必要だったものも、インターネット環境があれば利用できるようになり、ハードウェアを準備する手間や企業内の設置スペースの削減、システム規模に合わせた環境の構築などが容易になりました。

また、クラウドコンピューティングの定義は存在していますが、名前の由来は諸説あり、インターネットの向こう側を雲と表現した「cloud」と、情報の集まりを群衆や人混みと表現した「crowd」というものがあります。

※参考：NIST によるクラウドコンピューティングの定義 米国国立標準技術研究所による推奨

1. クラウドの種類

クラウドサービスの形態を3つ紹介します。

1. SaaS

SaaS（Software as a Service｜サースと読む）とは、Microsoft365やGoogle Workspace、Zoom、Dropboxなど、インターネットを介してアプリケーションを利用できるサービスのことです。

クラウドサービスとしては一番馴染みのあるものとなり、インターネット環境があれば利用ができる、複数人でファイルの共有や編集、管理ができるなどのメリットがあります。デメリットとしては、アプリケーションとして提供されるためカスタマイズ性が低い、セキュリティのリスクがある、などが挙げられます。

1. IaaS・HaaS

IaaS（Infrastructure as a Service｜イアースと読む）とは、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなど、サーバーやネットワークなどのITインフラの構築で利用するサービスで、HaaS（Hardware as a Service）と呼ばれることもあります。IaaSはクラウド上でITインフラの構築ができるため、オンプレミスよりも費用が削減でき、クラウドサービスのなかでは環境構築の自由度が高いというメリットがあります。デメリットとしては、導入や管理のために専門的な知識が必要になることが挙げられますが、IaaSや後述するPaaSにシステムを移行する企業が近年は増加傾向にあります。

※参考：（4）企業におけるクラウドサービスの利用動向 – 総務省

1. PaaS

PaaS（Platform as a Service｜パースと読む）は、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platform、kintoneなどが提供するサービスです。IaaSはITインフラの構築をクラウド上でおこなえますが、PaaSはITインフラがあらかじめパッケージ化して提供されているため、アプリケーションの開発環境そのものがサービスに含まれているという違いがあります。

そのため、環境構築が不要ですぐに開発に取りかかれる、ITインフラの管理をしなくてよいなどのメリットがあります。デメリットとしては、IaaSよりも開発の柔軟性が劣る、開発環境の移行がしにくい、などが挙げられます。

1. クラウドでできること

クラウドサービスでできることを3つお伝えします。

1. データのバックアップ

オンプレミスの場合、災害などで自社のハードウェアに物理的な損害が出てしまうとデータの破損につながります。しかし、クラウドの場合はサービス事業者のクラウド上に情報が保存されているため、自社で問題が発生してもデータの破損などは起こりません。また、複数のクラウドサービスを利用してシステムを構築する「マルチクラウド」という手法をとることで、データのバックアップ機能を高めることができます。

1. データの情報共有

WordやGoogleドキュメント、Dropboxなどのように、クラウドサービスを利用すると業務で使用するデータの情報共有が簡単にできます。インターネット環境があればすぐに確認ができるため、進捗管理などもしやすくなります。

1. 業務の効率化

ビジネスチャットのSlackやChatwork、WEB会議で利用するZoomをはじめ、スケジュール管理や会計ソフトなどもクラウドサービスのひとつです。これらは現代のビジネスで多く利用されており、簡単な処理で計算や管理ができることに加え、システム同士の連携なども可能です。そのため、クラウドサービスが発展する前よりも、業務が効率化していることは間違いはないでしょう。

1. 法人向けのクラウドサービス

法人向けのクラウドサービスを4つお伝えします。

1. kintone

サイボウズ株式会社が提供している、業務アプリを簡単に作成できるクラウドサービスです。必要な機能を選択するだけでカスタマイズができ、システム構築が不要なため、IT部門以外の方でも導入できます。また、公式サイトによると、東証プライムの3社に1社がkintoneを利用しているようです。

※参考：kintone（キントーン）とは – サイボウズ

1. Google Workspace

Google社が提供する、クラウドコンピューティングを利用した組織向けのアプリケーションセットです。上述したGmailやドキュメントに加え、カレンダー、スプレッドシート、スライドなど、業務効率化に役立つツールが利用できます。

※参考：Google Workspace とは

1. Microsoft Azure

Microsoft社が提供するクラウドコンピューティングサービスです。IaaSとPaaSのサービスが提供されており、Azureの製品は200以上に渡ります。利用者の用途によってサービスを選ぶ形になり、セキュリティや災害対策もしっかりとおこなわれています。

※参考：Microsoft Azure: クラウド コンピューティング サービス

1. Microsoft 365

かつてはOffice 365と呼ばれていた、Microsoft社のクラウドサービスです。WordやExcel、PowerPointなどのアプリケーションをサブスクリプション形式で利用できます。

参考：Microsoft 365 – サブスクリプションで Office アプリを使用

1. クラウドの導入メリット

クラウド導入のメリットを3つお伝えします。

1. 低コストで導入できる 

クラウドでシステム環境を整える際は、オンプレミスのようにハードウェアを揃える必要がないため低コストで導入できます。また、使用量に応じて料金が変わっていくサービスが多く、小規模であればランニングコストも低価格となります。さまざまな企業がクラウドサービスを提供しているため、機能や金額でサービス事業者を選ぶことも可能です。

1. システム運用の負担が少ない

クラウドを導入した場合、オンプレミスでは必要だったメンテナンスや管理などもしなくて済むようになります。システム基盤の管理に必要だった人件費や手間を削除でき、ランニングコストも削減できる可能性が高いため、システム運用にあたっての人的・金銭的負担が少なくなるでしょう。

1. 環境を選ばずどこでも使える

オンプレミスでは、物理的に離れた場所からハードウェアの操作や管理ができません。しかしクラウドサービスは、インターネット環境があればどこからでも利用できます。SaaS、IaaS、PaaSを問わずこの点はメリットとなり、業務に対する障壁が軽減され、業務効率化に役立ちます。

1. クラウドの導入デメリット

クラウド導入のデメリットを2つお伝えします。

1. セキュリティ面に注意が必要

クラウドはインターネットを利用したサービスとなるため、オンプレミスよりもセキュリティ面に気をつける必要があります。また、クラウドサービス自体におこなわれるサイバー攻撃や不正アクセスに対し、利用者側は基本的に対策を取ることができません。特に堅牢なシステム構築が求められる開発において、この点はデメリットとなります。

1. カスタマイズに制限がある

オンプレミスでは、ハードウェアとソフトウェアを自社で用意しているため、自由にシステム開発をしていくことができます。しかし、クラウドサービスは提供されているパッケージ内でのカスタマイズとなってしまうため、オンプレミスに比べると開発の自由度が制限されます。また、SaaS、IaaS、PaaSでカスタマイズの幅が変わってくるため、クラウドを導入する際はどういった機能が必要になるかを吟味しなくてはなりません。

1. まとめ

クラウドサービスは身近なものになっているため、日常生活でも普段利用しているものも多いのではないでしょうか？　

法人のシステム構築で利用する際は基本的にIaaSかPaaSとなりますが、それぞれに特徴があることに加え、クラウド事業者によってサービス内容も異なります。また、kintoneのように業務に必要なシステムが準備されているクラウドサービスもあるため、選択肢はさらに広がっていると判断できます。

システムの開発や移行に失敗をしてしまうと、そのあとのリカバリーも大変な作業になってしまいます。クラウドを導入する際は、慎重に検討することをおすすめします。