プロダクトオーナーとは?仕事内容と必要なスキルセットをご紹介
プロダクトオーナーと、似たような語感の職種としてプロジェクトマネージャーがあります。もしかしたら、プロジェクトマネージャーと勘違いされている方もいるかもしれません。この記事では、プロダクトオーナーとプロジェクトマネージャーの違いについて解説し、その後、プロダクトオーナーの(スクラム開発における)具体的な役割と、必要なスキルセットを解説します。
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プロダクトオーナーとは?
プロダクトオーナーとは、プロダクトの責任者のことです。プロダクトのクオリティ、ビジネスにおける目標に合致しているか、ユーザーの要件を満たしているか、などの品質を管理し、プロダクト価値の最大化を目指します。
顧客とは、プロダクトの要件を定め、開発チームには、ビジョンの共有、要件をタスク化し、作業内容や優先順位などを定めます。開発期間中は、顧客、開発チームなどとのコミュニケーションの橋渡しをおこなうこともあります。
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プロダクトオーナーの定義
プロダクトオーナーはスクラム開発における一つの役割です。
スクラム開発は、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チームというそれぞれの役割をもったスクラムチームでおこない、プロダクトオーナーには、下記の役割があります。
・プロダクトのスコープを定める
・プロダクトバックログアイテム(PBI)を作成する
・PBIの作業優先順位を定める
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プロダクトオーナーが必要とされる背景
スクラム開発が生み出された1990代前半当時は、ウォーターフォール開発が主流でした。ウォーターフォール開発はスピード感が遅く、素早い開発が求められていましたが、その中から生まれたのが、スクラム開発です。スクラム開発はミニマムなローンチを目指すため、スピード感がありました。しかし、スクラム開発は、開発を継続的におこなっていくため、長い間運用するうちに方向性や目的を見失ってしまいやすいという欠点もあります。そのため、方向性や目的を常に定め、プロダクトの価値を保つという役割を持った、プロダクトオーナーの存在が必要とされています。
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プロジェクトマネージャーとの違い
プロジェクトマネージャーは、あるプロジェクトを成功に導く役割があります。WBSなどを用いて、プロジェクトを成功するために必要な要素を細分化し、費用やコスト、人材、スケジュールなど全てを管理します。プロダクトオーナーとの違いは、プロダクトとプロジェクトのどちらに管理責任があるかという点です。案件によっては、それぞれを兼ねることもあります。
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スクラム開発とは?
スクラム開発は、ソフトウェア開発において、ウォーターフォール開発と対をなす開発手法で、ミニマムリリースを繰り返しながら開発をしていくのが特徴です。ミニマムリリースをおこなうことから、リリース単位の開発が早く、またリリースによってユーザーやクライアントの反応やフィードバックを得ながら、次に何を開発すべきかを定めていくことができるのが、大きなメリットの一つです。
スクラム開発について詳しくは下記の記事で解説していますので、興味のある方はご確認ください。
関連記事:スクラム開発ってなに?アジャイル開発との違いや特徴を解説
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プロダクトオーナーの仕事内容
プロダクトオーナーの仕事内容について簡単に触れてきましたが、その内容についてもう少し詳しく解説します。
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目標の明確化
スクラム開発では、ミニマムリリースを繰り返し、何度もリリースを繰り返すうちに、当初の目標とは異なる方向に進んでいたり、場合によっては目標を見失ってしまう可能性があります。そうならないために、プロダクトオーナーは、常に俯瞰的な視点をもち、プロダクトの方向性を定め、クライアントにも、開発チームにも目標の明確化につとめなければなりません。
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プロジェクトの全体管理
ミニマムリリースを繰り返していくスクラム開発では、リリースがプロジェクトのゴールではなく、リリース後も開発が続いていきます。タスクの優先度をつけてプロダクトバックログアイテムに起票し、開発チーム全体でプロジェクトの共有をおこないます。優先度の高いものから開発、ミニマムリリースをおこなっていきます。
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必要な作業の計画
次にどのようなリリースをおこなえば良いか計画を立てます。ユーザーに対する効果や、ユーザーやクライアントからのフィードバックなどにより、必要な機能を定め、開発に必要な期間やリソース、開発メンバーへのタスクの割り振りなどをおこないます。
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顧客ニーズのヒアリング
プロダクトオーナーは、プロダクトの価値を最大化するために、ユーザーやクライアントの言葉によく耳を傾け、要望に応じてプロダクトにどう反映すべきか、慎重に検討しなければなりません。
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プロダクトオーナーに必要なスキルセット
プロダクトオーナーに必要なスキルセットについて簡単に解説します。
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テクニカルに関する幅広い知識
プロダクトオーナーは、顧客の要望に対して、テクニカル上のアドバイスや提案をしたり、また、具体的にどのようなシステムをどう実装すべきか、などについて的確な助言をあたえたりする必要があります。そのためには、テクニカルに関する幅広い知識が必要になります。
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コミュニケーション力
プロダクトオーナーは、顧客に対しては、要望をよく聞き、また開発すべきシステムを定めた際には、顧客への提案をしなければなりません。
開発チームに対しては、ビジョンとスコープを共有し、タスクの振り分け、開発の優先度、修正の指示、顧客からのフィードバックなどを伝えます。
このように多くのコミュニケーションの機会が存在するため、コミュニケーション力は必須です。
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開発に関する知識と経験
開発の際に、実際に手を動かすのは、開発チームのメンバーですが、開発チームのメンバーと同等の目線でコミュニケーションを取るためには、開発に関する知識と経験が必要になります。また、開発に関する知識や経験があることで、クライアントからの信頼も得られやすくなり、またクライアントと現場との齟齬がおこりにくくなります。
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リサーチ能力
プロダクトの価値を高めるためには、日頃から情報収集が必須です。競合はどのようなシステムを開発しているのか、どのようなシステムを開発すれば競合に勝てるのか、ユーザーに使ってもらうためのシステムはどのようなシステムなのか、などの仮説を立て、いざ開発をする際は、それを生かします。
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プロダクトオーナーにおすすめの資格
プロダクトオーナーになるために必要な資格はありませんが、資格をもっていることで転職や給料査定に有利に働く可能性のある資格をご紹介します。
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Scrum Alliance®公認クラス認定スクラムプロダクトオーナー
認定スクラム プロダクト オーナー (CSPO)は、Scrum Alliance社による認定資格で、スクラムの基本やプロダクトオーナーの役割などプロダクトオーナーに必要なスキルについての研修を受講し、講師から推薦されることにより取得できます。
参考URL:Scrum Alliance認定Certified Scrum Product Owner(公式ホームページ)
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RPO(Registered Product Owner™)
認定資格プロダクトオーナー(PRO)は、Scrum Inc. Japan社による認定資格です。顧客ニーズへの対応や、プロダクトバックログの優先順位付けの仕方、プロダクトのROIの最大化などについての研修を受け、テストにより合否を判定します。
参考URL:Scrum Product Owner Training(公式ホームページ)
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プロダクトオーナーの将来性
プロダクトオーナーはこれまであまり知られていませんでしたが、近年スクラム開発の認知と重要性の向上とともに、重要視されるようになってきました。
その理由は、サービスをリリースした後も、開発しながらサービスを続けていくような運用スタイルのサービスが増えてきたことがあげられます。
そうした運用は、開発が終わるまでリリースできないウォーターフォール開発よりも、ミニマムリリースをおこなうスクラム開発の方が、都合がよいという判断です。
ミニマムリリースにより、いち早くユーザーの反応を知ることができるため、ビジネス判断が早くつけられますし、サービスの収益を開発費用に回していくという運用方法も可能になります。
スクラム開発を運用していくには、顧客ニーズに対する素早い対応が求められ、そのために、プロダクトオーナーは欠かせない存在となっています。
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まとめ
プロダクトオーナーは、ユーザーのニーズを見極め、顧客に対しては提案・説明をおこない、開発チームと素早く連携し開発をおこなっていく、というスクラム開発において欠かせない存在です。
この記事を参考にぜひプロダクトオーナーを目指してみてください。