ゲームを仕事に!ゲーム好きにおすすめの仕事をご紹介
これからゲームを仕事にしようとしている方のなかには、「そもそもゲーム業界にはどんな仕事があって、どういった職業があるの?」と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。この記事では、ゲーム業界の分類や構造、職業、ゲーム業界で働くための方法などについてまとめています。ぜひとも最後までご一読ください。
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そもそもゲーム業界は何をするの?
ゲーム業界とは、ゲームという娯楽に関するサービスや商品を提供している業界のことですが、ゲーム業界にも以下の3種類があります。
①コンシューマーゲーム・パッケージソフト業界
「Nintendo Switch」や「PlayStation 5」などのコンシューマーゲーム(ゲーム機本体)およびそれらで利用する「スプラトゥーン」や「ファイナルファンタジー」などのパッケージソフトを開発する業界。
②オンラインゲーム業界
オンラインでプレイする「Fortnite」や「Apex Legends」などのパソコンゲームおよび「ウマ娘 プリティーダービー」や「原神」などのスマートフォンゲームを開発する業界(パッケージソフトでもオンラインゲームのタイトル販売はありますが、パッケージソフトはオフラインでもプレイできるものが多くなっているのに対し、オンラインゲームはインターネットが利用できる環境でしか利用できないという違いがあります)。
③アーケードゲーム業界
ゲームセンターで利用するメダルゲームやドライブゲーム、クレーンゲームなどを開発する業界。ソフトの開発とゲーム筐体の開発がある。
ゲーム業界のなかにもこれらの業界があり、ゲームを仕事にしたいと考えた際は自分がどういうゲームが好きなのか、どういった仕事がやりたくて、どういった仕事があるのかを知る必要があります。また、ゲーム業界の特徴として、「ゲームパブリッシャー」と「ゲームデベロッパー」の違いを押さえておくことも重要です。
関連記事:コンシューマーゲームとは?特徴とゲームの違いについてご紹介
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ゲームパブリッシャーとは
ゲームパブリッシャーとは、自社でゲームタイトル企画・宣伝・販売している企業のことをいい、任天堂、セガ、スクウェア・エニックス、コナミなどのゲーム業界の大手企業が該当します。ゲームパブリッシャー自体がゲームを開発することもありますが、ゲームパブリッシャーが企画をしたゲームの開発は「ゲームデベロッパー」に依頼することも多くなっています。また、ゲームパブリッシャーが自社で企画をした作品タイトルのことを「IP」ともいい、ゲーム業界ではIPを活用した商品展開もおこなわれています。
関連記事:ゲーム業界の「IP」とは?自社IP・他社IPの違いや活用事例を解説
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ゲームデベロッパーとは
ゲームデベロッパーとは、ゲーム開発を中心におこなっている企業のことで、基本的に自社でゲームの宣伝や販売をしないという特徴があります。また、ゲームパブリッシャーから依頼を受けてゲームを開発する場合と、ゲームデベロッパーが考えた企画をゲームパブリッシャーに持ち込みゲーム開発をする場合がありますが、開発したタイトルはゲームパブリッシャーの作品として世の中に認知されることが一般的です。
しかし、ゲームデベロッパーが自社タイトルを開発・宣伝・販売し、作品がヒットしたことによってゲームパブリッシャーになるケースも見受けられます。また、ゲーム業界の大手企業はゲームパブリッシャーとゲームデベロッパー両方の業務をこなしていることが多いです。
ゲーム業界の仕事の構造としては、ゲームパブリッシャーがタイトルや内容を企画してゲームデベロッパーに仕事を依頼し、ゲームデベロッパーがゲームを開発するという流れが多くなっていると覚えておきましょう。
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ゲーム業界に携わっている職種
上述したゲーム業界の構造のなかでも、さまざまな職業の方が協力してゲーム開発をしています。この項目では、ゲーム業界に携わっている職種をお伝えします。
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ゲームプロデューサー・ゲームディレクター
ゲームプロデューサーとは、ゲーム開発における主導者ともいえる存在で、ゲーム開発の企画や必要な人員の選定、予算、広告、スケジュールなど、プロジェクトの始動からリリースまでの管理や運営を担います。
ゲームディレクターとは、ゲーム開発をする際に携わる各種クリエイターの取りまとめをし、現場の進捗や品質などを管理する責任者のことです。両者をおおまかに分別すると、ゲームプロデューサーはゲーム開発全体のプロジェクトを管理する役職で、ゲームディレクターはゲーム開発における現場の管理をする役職です。
関連記事:プロデューサーとディレクターの違いって何?それぞれの違いと特徴をわかりやすく解説
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ゲームプランナー(ゲームデザイナー・ゲーム企画)
ゲームプランナー(ゲームデザイナー・ゲーム企画)とは、ゲームの企画やニーズの調査などをおこない、ゲームシステムの基本的な構成などを考える職業です。ゲームの構成は企画書や仕様書をもとに作られ、企画書や仕様書の品質によってゲームのクオリティが変わります。ゲームプランナーはそれらの作成を担うため、ゲーム開発における重要なポジションの一つといえるでしょう。また、ゲームの企画では、キャラクターやストーリー、画面レイアウトなど、さまざまな設定を企画書にまとめなければならないため、ゲームに関する複合的な知識が必要となります。
関連記事:ゲームプランナーとは?なるためのスキルや年収について解説
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ゲームエンジニア(ゲーム開発エンジニア・ゲームプログラマ)
ゲームエンジニア(ゲーム開発エンジニア・ゲームプログラマ)とは、その名のとおりゲーム開発をするエンジニアのことです。ゲーム開発では、C言語やC♯、Java、PHP、Swift、Kotlinといったプログラミング言語が利用されています。また、各プログラミング言語には得意分野があり、コンシューマーゲームであればC言語、C#、Java、Android用のゲームではJavaやKotlin、iOS用のゲームではSwiftなどと、開発物によって言語が異なるという特徴があります。
加えて、近年ではUnityやUnreal Engineといったゲームエンジン(ゲームを開発するための環境が揃ったツール)を利用したゲーム開発も多くなっています。そのため、企業や開発物によって必要になるスキルも異なります。
関連記事:Unityとはどんなゲームエンジン?特徴、できることなどをわかりやすく徹底解説
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シナリオライター
シナリオライターとは、ゲームや映画、舞台、テレビ番組などの脚本や台本を執筆する職業です。ゲーム業界でのシナリオライターは、ゲームのストーリーや各種設定などを創作することになります。シナリオの種類は、ファンタジーやコメディ、恋愛、サスペンス、群像劇と多岐に渡り、主軸となる物語の他にキャラクターのセリフ一つ一つを執筆していく必要があります。作品を通して1人のシナリオライターがすべての脚本を担当することもありますが、ストーリーごとに区切りをつけ、複数のシナリオライターが共作して一つのゲームシナリオを作成することもあります。
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ゲームサウンドクリエイター(サウンドクリエイター)
ゲームサウンドクリエイター(サウンドクリエイター)とは、ゲームで利用するテーマ曲やBGM、効果音などを作曲する職業です。ゲームサウンドは基本的にDTM(Desk Top Music|デスクトップミュージック、パソコン上での作曲)で作成されることが多くなっているため、CubaseやPro Tools、Logic Proなどの音楽制作ソフトのスキルが必要です。
また、ゲームサウンドクリエイターはゲームのシーンや世界観、メッセージなどに合わせた曲調の楽曲を作成します。ゲームありきの作曲となるため、ストーリーの読解力や音楽としての表現力も問われる職業です。
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CGデザイナー
CGデザイナーとは、2DCGや3DCGといわれるコンピューターグラフィック(CG)を作成する職業です。ゲーム業界以外でも、映画やアニメ、広告、建築などの業界でCGデザイナーは活躍しており、CGデザイナーにも「モデラー」や「リガー」「モーションデザイナー」といった、より細分化された職業が存在します。CGデザイナーについては関連記事にまとめていますので、気になった方はぜひともご確認ください。
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ゲームキャラクターデザイナー
ゲームキャラクターデザイナーとは、ゲームに登場するキャラクターやモンスター、ロボットなどのデザインを手がけるデザイナーです。キャラクターデザインは、ゲームのプレイ画面だけでなく広告やパッケージなどにも表示されるため、ゲームの売上にも大きく関わる重要な職業の一つです。
この記事での職業紹介は以上になりますが、以下の関連記事でもゲーム業界の職種について解説しています。よろしければこちらもご確認ください。
関連記事:ゲーム業界の職種、徹底解剖!未経験でも転職できる?
ゲームクリエイターになるには?職種や必要なスキル・資格をご紹介
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ゲーム業界で活躍するために必要なスキルセット
ゲーム業界で働くために必要なスキルを4つお伝えします。
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コミュニケーション力
ここまでお伝えしてきたように、ゲーム業界は複数の職業の方が協力して一つのゲームを開発していきます。また、それぞれの職業で働くとしても、その職業内でチームを組んだり、関係各所と連絡を取っていくことがほとんどです。そのため、コミュニケーション力はなくてはならない能力といえるでしょう。
また、コミュニケーション力はゲーム業界以外でも重要なものとされており、企業が新入社員に求める能力では常に上位にランクインしています。どのような仕事をしていても人との関わりは少なからず発生するため、日頃からコミュニケーションについて意識を巡らすことをおすすめします。
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クリエイティブ能力
ゲーム業界の職業は、そのどれもにクリエイティブ能力が問われるといっても過言ではないと思います。「ゲーム」というものをあらためて考えると、何もないところから生まれたアイデアによって開発が始まり、誰かの娯楽となる商品を完成させていることになります。
職業ごとの業務内容によってはクリエイティブな部分が少ないと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、企画書や設計書をもとにそれぞれの仕事をこなしていく作業には、クリエイティブな側面が必要となります。なぜなら、ゲームを開発するうえで誰かに楽しんでもらうことへの意識は欠かせない要素となり、創造力を働かせてゲームを完成させなければいけないからです。
もちろん、他の業界でもクリエイティブ能力は求められるものとなりえます。しかし、ゲーム開発を極論的にいうと、完成系のゴールイメージはあるものの、そのゴールイメージが明確に、確定的に定まっているものではないと判断できます。そのため、答えのないものから答えを生み出す能力が必要となり、その点においてクリエイティブ能力はなくてはならないものといえるでしょう。
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企画力・提案力
ゲームプロデューサーやゲームプランナーはゲームの企画も業務に入りますので、企画力や提案力は必ず求められるものになります。そして、他のゲーム業界の職業でも、企画力や提案力は必要です。
【クリエイティブ能力】の項目でお伝えしたように、ゲーム開発は極論的にいえば「ゲームという答えのないものの答えを探す仕事」ともいえるため、自らの意思で「こういったものがよいのではないか」と発想する企画力、「発想した企画(アイデア)を提案、実行してみる」提案力が無ければ業務に務めることも難しくなるでしょう。一般的に、クリエイティブ能力が問われる仕事はトライアンドエラーを繰り返すことになりやすく、トライアンドエラーを支えるためには企画力や提案力などが必要です。
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プログラミング言語の幅広い知識
ゲームエンジニアにプログラミング言語の知識は必須のものになります。しかし、それ以外にも、ゲームプロデューサーやゲームディレクター、ゲームプランナーなどもプログラミング言語について理解があるほうがよいでしょう。なぜなら、コンピューターを利用したゲームはプログラミング言語で開発されていくため、プログラミング言語についての知識があればより具体的な提案や進捗の確認、できることやできないことの判断などができるからです。
また、近年では「ノーコード」といってプログラミング言語を利用せずにゲームを開発することも可能ですが、複雑な処理をするためにはプログラミングをしなくてはなりません。特にゲームエンジニアを目指す方は、何かしらのプログラミング言語を習得する必要があります。
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ゲーム業界で働くためには
ゲーム業界で働くための方法を3つお伝えします。
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大学・専門学校に通う
大学や専門学校に通ったあとにゲーム業界への就職を目指すことは、一般的なルートになるかと思います。大学や専門学校に通う場合、直接的なゲーム開発がしたいのか、ゲーム開発をしている企業で働きたいのかで選択する学校や学部、学科が異なります。
①直接的なゲーム開発に携わりたい場合
大学であれば、情報系学部でのプログラミング、芸術系学部でのデザインなどの知識を身につけることで、ゲーム開発に関連する能力を手に入れることができるでしょう。また、近年ではゲーム開発に特化した学部を設けている大学も見受けられますので、より専門的なゲームの知識を身につけるために、ゲーム学部のある大学を目指してもよいかと思います。
また、直接的なゲーム開発がしたい場合は専門学校もおすすめです。ゲーム学科を設けている専門学校は大学に比べて種類がかなり多くなっており、授業のカリキュラムも実践的な内容がほとんどです。専門学校は、何かしらの職業に就くための専門的な勉強をしていく学校になっているため、即戦力として通用する人材の育成に力を入れています。加えて、専門学校は特定の企業とのパイプを持っていることも多く、一般公募されていない独自の求人や有名企業の社員がおこなう授業、学校限定のインターンシップなどを売りにしているところも多く見受けられます。
②ゲーム開発をしている企業で働きたい場合
直接的にゲーム開発に携わるのではなく、ゲーム開発をしている企業の社員として働きたい場合、大学への進学をおすすめします。なぜなら、ゲーム開発以外でゲーム企業に携わることを考えた場合、大手ゲーム企業への就職が主な選択肢になるからです。そして、大手ゲーム企業は大卒のみを求人の対象としていることがほとんどのため、そのような企業への就職を希望する場合は大学へ進学しなくてはなりません。また、ゲーム開発をしている中小企業は即戦力となる人材を欲していることが多く、直接的なゲーム開発の能力を重視する傾向がある、という背景もあります。
大学の学部については、理系学部のほうがゲーム業界と親和性が高いといえますが、文系学部でも大手ゲーム企業に就職できているという情報があります。しかし、大手ゲーム企業の過去の採用情報を見ていると、いわゆる高学歴の学生採用が多い印象があります。
一般的に、高学歴の学生は大学に合格するための努力ができる人材、能力のある人材として評価され、入社後の成長を見込みやすいといわれています。そのため、企業側も採用しやすい人材となり、人気のある大手ゲーム企業では高学歴の学生を積極的に採用しているとも考えられます。偏差値が中堅以下の大学出身者が大手ゲーム企業へ就職できないわけではありませんが、高学歴の学生のほうが採用されている状況は理解しておいたほうがよいでしょう。
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プログラミングスキルを身につける
【必要なスキル】のなかでお伝えしたように、ゲーム業界の職種によってはプログラミングスキルが欠かせません。そこで、大学や専門学校などに通っていない方、あるいは学校に通っていてさらに強いアピールをするためにも、プログラミングの知識を身につけることは有効な戦略といえます。
プログラミングの知識やスキルを証明するためには、ゲーム開発で利用されるプログラミング言語の資格取得をおすすめします。資格を取得することで客観的な能力の証明となり、企業側に評価されることが期待できるからです。また、プログラミングスキルに加えて、UnityやUnreal Engineのようなゲームエンジンの操作ができれば、企業側に評価される可能性が高いです。ゲームエンジンの勉強をする際は、自分でひとつ以上のゲームを完成させるようにしましょう。完成したゲームをポートフォリオとして企業に提出することで、さらに高い評価を得られるかと思います。
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未経験可の求人に応募する・アルバイトから正社員を目指す
ゲーム業界では、未経験でも正社員として応募できる求人情報が見受けられます。そのため、そのような求人に積極的に応募をすることで、ゲーム開発企業に就職・転職できる可能性も高いかと思います。
また、未経験可の求人と同じように、ゲーム業界にはアルバイトの求人も存在します。未経験可の転職活動が難航した場合はアルバイトからゲーム業界に入り、知識やスキルを身につけて正社員を目指すという選択肢を採ることもできるでしょう。また、アルバイトの経験を積んでいくことで、アルバイトをしていた企業での正社員登用が難しくとも、他のゲーム会社への転職で正社員になれる可能性があります。
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ゲーム業界の将来性
結論からいうと、ゲーム業界の将来性は高いと判断してよいかと思います。なぜなら、ゲームの中心技術となるITは日々進化を続けており、「VRゲーム」や「eスポーツ」、クラウド環境でゲームができる「クラウドゲーム」など、かつてはなかった新しい技術やジャンルが育ってきているからです。
また、スマートフォンが普及してからはスマートフォンゲームが台頭し、近年では「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒット、年齢や国籍を問わず楽しむことができる「ハイパーカジュアルゲーム」の浸透など、スマートフォンを介したゲームユーザーも増加傾向にあります。
しかし、現在のゲーム人口は増加傾向にあるものの少子高齢化の影響もあり、日本国内の新規若年層ユーザーは獲得しにくくなるのではないか、と予想されることが多くなってきています。そのため、特に日本のゲーム企業は海外展開を考えたゲーム開発がより重要になる可能性が高くなっており、日本のゲーム企業はより戦略的に事業展開をしていく必要があるといえます。
つまり、世界的な視点に立つとゲーム業界自体に将来性はあるといえるが、日本のゲーム企業がゲーム業界でシェアを広げるためには、企業努力がより重要になる時代がくるかもしれない、という予想が成り立ちます。ゲームを仕事にしたい方は、日本のゲーム企業への就職を望むほうが多いかと思いますので、この点についても認識しておいたほうがよいでしょう。
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まとめ
ゲーム業界には「コンシューマーゲーム・パッケージソフト業界」「オンラインゲーム業界」「アーケードゲーム業界」の3種類があること、ゲーム企業には「ゲームパブリッシャー」と「ゲームデベロッパー」があることをまずは認識しておきましょう。
また、ゲーム業界の職業にもさまざまなものがあり、いろいろな人が関わってゲーム開発に取り組んでいること、ゲーム企業に就職するための方法が複数あることも覚えておきたいポイントです。ゲーム企業は未経験可の求人も多く見受けられるため、すぐに就職や転職がしたい方はスキルを身につける前に就職・転職活動をすることもできるかと思います。「ゲームを仕事にしたい」という気持ちを大切にして、いろいろと行動していきましょう。