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転職コラム

データサイエンティストのキャリアパスについて考える

データサイエンティストのキャリアパスについて考える

AI・データ分析の時代が到来し、データサイエンティストの職種が注目され、製造業やEC、金融などさまざまな業界で需要が高まっています。

一方で、将来のキャリアビジョンが描きにくい課題もあります。そこで本記事では、データ分析の仕事に関心のある方向けに、データサイエンティストへの挑戦方法、キャリアアップの選択肢を解説します。

資格取得、実務経験など、自身の状況に合ったキャリアパスを見つけてください。

データサイエンティストについておさらい

データサイエンティストは、企業が抱える膨大なデータを分析・解析し、ビジネスの課題解決に役立てる専門家です。データサイエンティストの仕事は、単なるデータ分析だけではありません。課題の洗い出しや優先順位付け、目標設定、仮説立案など、経営戦略にも深く関わります。

データサイエンティストに求められるのは、データ分析のスキルだけではありません。ビジネスの知識やマーケティングのスキル、コミュニケーション能力なども重要です。クライアントとの対話を通じて課題を明確化し、データに基づいた提案をおこなうためには、幅広い知識と経験が必要とされます。

データサイエンティストは、 AIをうまく活用し、ビジネスの課題解決に導く存在として、今後ますます重要性が高まると考えられています。企業が抱える問題点を見つけ出し、データを武器に解決策を提案できる人材は、これからの時代に欠かせない存在となるでしょう。

関連記事:データサイエンティストとは?仕事内容や年収、未経験からの目指し方について

データサイエンティストの将来性は?

データサイエンティストの需要は、今後ますます高まると予想されています。デジタル化の進展によって、企業が扱うデータ量は爆発的に増加しており、大量のデータを活用してビジネスの課題を解決できる人材が求められているためです。

経済産業省の調査によれば、2030年に国内IT人材は59万人不足すると試算され、先端IT人材に限っても2020年時点で4.8万人不足とされています。また、米国の調査では2018年までに熟練したデータサイエンティストが19万人、アナリストが150万人不足すると予測されており、世界的にもデータサイエンティストの需要は高まっています。

一方で、AIの発展によってデータサイエンティストの仕事が奪われるのではないかとの懸念もあります。たしかに、機械学習や深層学習などのAI技術の進歩により、データ分析の一部はAIに置き換えられる可能性があります。

しかし、データサイエンティストの役割は単なるデータ分析だけではありません。ビジネスの課題を見つけ出し、データを活用して解決策を提案するためには、人間ならではの創造力や判断力が必要とされます。AIはあくまでもツールであり、AIを使いこなすのは人間の仕事です。

また、AIの発展によって新たなビジネスチャンスが生まれることも期待されています。例えば、AIを活用した新サービスの開発や、AIによる業務効率化など、データサイエンティストの活躍の場はさらに広がっていくと考えられます。

データサイエンティストには、専門的なスキルだけでなく、ビジネスの知識やコミュニケーション能力など、幅広い能力が求められます。そのため、AIに仕事を奪われるのではなく、AIと協働しながらビジネスの課題解決に取り組む存在として重要性が高まっていきます。将来的な需要も期待され、キャリアパスを前向きに考えてよい職種です。

データサイエンティストのキャリアパス【未経験の場合】

データサイエンティストを目指す場合、未経験からでもキャリアを積むことができます。以下では、未経験からデータサイエンティストを目指す際のキャリアパスをいくつか紹介します。

新卒採用を目指す

理数系の大学を卒業し、新卒採用でデータサイエンティストとして就職するのは有効な手段の1つです。

理数系の大学では、データサイエンティストに必要な数学、統計学、プログラミングなどの基礎知識を学ぶことができます。例えば、統計学では確率論や推測統計学、多変量解析などを学び、プログラミングではPython、Rなどのデータサイエンスによく使われる言語を習得できます。

また、企業は新卒者を育成する意欲が高く、情報処理推進機構の調査では45.1%の企業が新卒・中途採用者を社内で育成すると回答しています。

新卒採用の際は、大学での専攻や研究内容、関連する資格の有無なども重視されることがあります。

専門学校やオンラインスクールでスキルを身につける

データサイエンスに特化した学部や専攻を設けている大学もあり、そうした大学で学び、必要なスキルを身につけることで、データサイエンティストとして活躍できる可能性が高まります。

大学以外にも、専門学校やオンラインスクールなどでデータサイエンスを学べる環境が整ってきています。こうした専門教育機関では、データ分析の理論だけでなく、実践的なプログラミングやモデリングの技術を集中的に学ぶことができます。学習期間は比較的短く、実務で求められるスキルが身につきやすいのが特徴です。

関連する資格を取る

データサイエンティストに役立つ資格はいくつかあります。資格を取得すると、専門知識やスキルを客観的に証明でき、採用される可能性が高くなります。

ただし、資格の難易度や取得に必要な学習時間は資格によって異なるため、自身のレベルに合わせて選ぶことが大切です。

例えば、統計検定なら統計の基礎知識から学べますが、データサイエンティスト検定ではプログラミングやモデリングの実践力が問われます。

近しい職種(エンジニア・マーケターなど)から転職する

データベースエンジニアやWEB系エンジニア、マーケター、アナリストなど、データサイエンティストに近い職種で経験を積んでから転職するのも1つの方法です。

上記の職種は日常的にデータを扱うため、データサイエンティストに必要なスキルやマインドが身につきやすいでしょう。例えば、エンジニアならプログラミングやデータベース構築の経験があり、マーケターならデータ分析の基礎が身についています。

ただし、不足しているスキルを補う学習は必要です。エンジニアならば統計モデリング、マーケターならばプログラミングなどを学ぶ必要があります。

データアナリストとしての実務経験を積む

データアナリストとデータサイエンティストは、データの収集や分析、解釈などの点で役割が似ています。そのため、データアナリストとしての実務経験を積むことで、データサイエンティストに必要な基礎的な知識やスキルを習得できます。

具体的には、データの前処理、クレンジング、可視化、レポーティングなどの業務を通じて、データ処理の能力を身につけることができます。また、ビジネス課題の発見や解決策の立案など、データを活用した実践的な問題解決力を養うことができます。

実践的なデータアナリストとしての経験は、データサイエンティストへのキャリアパスを進めるうえで役立つでしょう。

データサイエンティストのキャリアパス【転職する場合】

データサイエンティストは、データ分析を通じて企業の意思決定を支援する重要な役割を担っています。将来的なキャリアアップを考えるうえで、どのような選択肢があるのでしょうか。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、データサイエンティストのロールモデルとして、以下を挙げています。

  • ・データビジネスストラテジスト
  • ・データサイエンスプロフェッショナル
  • ・データエンジニア

転職を考えるデータサイエンティストにとって、上記のロールを理解するのは、キャリアパスを描くうえで重要です。

データビジネスストラテジスト

データビジネスストラテジストは、事業戦略に基づいてデータ活用戦略を立案し、プロジェクトをマネジメントする役割を担います。ビジネス力が求められるロールであり、データを活用して新規事業を創出したり、現場業務を改善したりするのが期待されます。

例えば、マーケティングデータを活用した新サービスの企画や、生産データの分析による工程改善などが考えられます。ビジネス戦略とデータ分析のスキルを組み合わせて、企業の意思決定を支援できます。

ビジネス戦略とデータ分析のスキルを組み合わせて、企業の意思決定を支援したいと考えるデータサイエンティストにおすすめのキャリアパスです。

データサイエンスプロフェッショナル

データサイエンスプロフェッショナルは、データの処理・解析を担当し、結果から知見を導き出す役割を担います。機械学習やディープラーニングなどの専門知識が求められるロールです。

具体的には、大量のデータから有用な情報を抽出するためのモデル構築や、予測精度の高い分析モデルの開発などが期待されます。

また、現場部門でのデータ活用の仕組みづくりや、エンドユーザーへの教育・サポートもおこないます。新技術の動向を把握し、自社での活用可能性を検証するなども期待されます。データサイエンスの専門性を生かしながら、組織全体でのデータ活用を推進する役割を担います。

データエンジニア

データエンジニアは、データ分析環境の設計・実装・運用を担当します。ビジネスの変革や新たなビジネスの創出を実現するために、リアルタイムかつ動的・自動的に最適化されるデータ分析基盤の構築が求められます。

例えば、ビッグデータ処理のためのハイパフォーマンスコンピューティング環境の構築や、クラウドを活用したスケーラブルなデータ基盤の設計・実装などが考えられます。

バックエンドシステム開発やクラウドインフラ活用のスキルが必要とされるロールであり、ソフトウェアエンジニアと同等の高い実践力が要求されます。データサイエンティストとしての知見を生かしながら、データ分析の基盤となるシステムを構築する役割を担います。

AIエンジニア

AIエンジニアは、人工知能(AI)の技術を活用して、さまざまな課題を解決するシステムやサービスを開発する専門家です。機械学習やディープラーニングなどの最新のAI技術を用いて、データから知見を引き出し、実用的なソリューションに落とし込む役割を担います。

例えば、画像認識システムの構築や自然言語処理による自動応答システムの開発、ロボットの知能化などが、AIエンジニアの業務範囲に含まれます。

データサイエンティストとAIエンジニアは、共通する知識やスキルが多いため、キャリアアップを考える職種としておすすめです。データサイエンティストとして培ったスキルは、AIエンジニアでも役立つでしょう。

ITコンサルタント

ITコンサルタントは、クライアントのIT戦略に関するコンサルティングをおこない、事業課題の分析やITシステムによるソリューションを提案する専門家です。

データサイエンティストとして培ったデータ分析や機械学習などのスキルは、ITコンサルタントが問題解決に必要なデータを収集・処理・活用するために有用です。

経営コンサルタント

経営コンサルタントは、クライアント企業の経営課題を特定し、戦略の提案や実行サポートなどをおこなう専門家です。

経営コンサルタントにキャリアアップするためには、データサイエンティストとして実務経験を積み、プロジェクトの企画・提案やマネジメントができるようになることが必要です。また、経営戦略やマーケティングなどのビジネス全般に関する知識も重要となります。

データサイエンティストのキャリアパス【その他】

データサイエンティストとしてキャリアを積んだのち、チームのマネージャーを目指したり、独立してフリーランスとして活躍する道もあります。

チームのマネージャーを目指す

データサイエンティストとしての実務経験を積んだあとは、プロジェクトマネージャーになることも可能です。

プロジェクトマネージャーは、データサイエンティストやエンジニアなどのチームをまとめ、スケジュール調整やリソース管理、チームメンバーとの協力関係を築きながら、プロジェクト全体の管理をおこないます。

プロジェクトマネージャーになるためには、データサイエンティストとしての経験に加えて、プロジェクト全体の管理や交渉能力などのスキルが必要とされます。

データサイエンティストとしての経験を活かしつつ、マネジメントスキルを身につけることで、チームのマネージャーを目指すことができるでしょう。

独立してフリーランスで活躍する

データサイエンティストとしての実務経験を積んだのち、独立してフリーランスとして活躍もできます。フリーランスとして独立すれば、自由度が高まり、フルリモートで働いたり、時間を拘束されず好きな時間に働いたりと、自由な働き方を選択できます。

ただし、フリーランスとして働く場合は、クライアントとの関係構築に積極的に取り組むことが求められます。自分の強みを活かせる案件を見つけ、クライアントとの信頼関係を築くことが重要です。また、収入が不安定になるリスクもあるため、資金管理や営業力も必要になります。

フリーランスとして独立する場合は、十分な実務経験とスキルを身につけ、自分の強みを活かせる分野で活躍するのが大切です。フリーランスとしての働き方に魅力を感じる方は、独立の選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

データサイエンティストへの挑戦方法は複数あり、新卒・転職・独学などさまざまな選択肢があります。

一度データサイエンティストになれば、AIエンジニアやITコンサルタントなど多様なキャリアパスが開けます。ただしそのためには、着実にスキルを高め続けることが何より重要です。本記事が皆さんのキャリア構築の一助となれば幸いです。