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JavaのEnum(列挙型)とは?基本的な使い方や便利に使える方法などをご紹介

JavaのEnum(列挙型)とは?基本的な使い方や便利に使える方法などをご紹介

プログラミングでは、関連する定数を扱う場面は多々あります。JavaのEnumは、定数を使うような場面で威力を発揮する特別な仕組みです。

Enumを使うと、コードの可読性や型安全性など、保守性がアップします。

本記事では、Enumの特徴やメリット、デメリット、基本的な使い方、そして便利な活用方法を詳しく解説します。

Enumの力を理解し、適切に使用すれば、より質の高いコードを書くことができるでしょう。

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JavaのEnumとは

Javaのenumは、関連する定数をまとめて定義できる言語機能です。例えば、曜日や方角、商品のサイズなど、決まった種類の値を扱う場合に便利です。

「enum」は英語の動詞、enumerate(数を確かめる、数える)が由来です。

enumを使うと、単に数字や文字列で値を表すよりも多くの利点があります。

例えば、曜日を0から6の数字で表すと、「8」など存在しない曜日を指定してしまう可能性があります。enumを使えば、定義された曜日以外は使えないので、間違いを防げます。

また、day = 1 よりも day = DayOfWeek.TUESDAY のほうが、何を表しているか一目で分かりコードが読みやすくなります。

以下は、曜日を表すenumの例です:

public enum DayOfWeek {

    MONDAY, TUESDAY, WEDNESDAY, THURSDAY, FRIDAY, SATURDAY, SUNDAY

}

 

DayOfWeek today = DayOfWeek.FRIDAY;

enumを使うとコードの品質と読みやすさが向上し、プログラムの信頼性が高まります。

Enumの特徴

enumには、いくつかの重要な特徴があります。

まず、型安全性を提供します。宣言したenumは独自の型として扱われるため、他の型との互換性がなく、誤った値の代入を防げます。

次に、単一インスタンスを保証します。各定数は1つのインスタンスしか作成されず、メモリ使用量を抑えられます。

さらに、クラスとしての性質を持ち、メソッドやフィールドを持つことができ、複数の値や振る舞いを含められます。

上記の特徴により、enumは単純な定数定義以上の柔軟性と安全性を提供する有用な機能となっています。

Enumを使うメリット

Enumを使うことで、コードの可読性が向上します。定数をグループ化して管理できるため、関連する値をまとめて扱えます。例えば、曜日を表すEnumを以下のように定義できます。

public enum DayOfWeek {

    MONDAY, TUESDAY, WEDNESDAY, THURSDAY, FRIDAY, SATURDAY, SUNDAY

}

また、Enumは型安全な定数定義を可能にします。コンパイル時に型チェックがおこなわれるため、誤った値の使用を防げます。例えば、メソッドの引数にEnumを使用すると、想定外の値が渡されるのを防ぐことができます。

public void scheduleAppointment(DayOfWeek day) {

    // dayは必ずDayOfWeekのいずれかの値

}

さらに、Enumはswitch文との相性がよいです。Enumのすべての値に対して処理を記述するのを強制できるため、漏れを防ぐことができ、コードの安全性が向上します。

Enumを使うデメリット

Enumには継承できない制約があります。これは型安全性を保証するための仕様ですが、柔軟性は制限されます。

また、Enumはメモリ使用量に影響を与える可能性があります。各Enum定数はクラスのインスタンスとして扱われるため、多数の定義でメモリ消費が増加します。

さらに、バージョン管理と互換性の面で課題があります。既存コードのEnumの値を変更すると、シリアライズやデータベースとの互換性に影響を与える場合があります。

// バージョン1

public enum Color { RED, GREEN, BLUE }

 

// バージョン2で新しい色を追加

public enum Color { RED, GREEN, BLUE, YELLOW }

例えば、上記のような変更をおこなうと、古いバージョンとの互換性は失われる可能性があるため、Enumの設計には考慮が必要です。

Enumの基本的な使い方

本項では、Enumの定義方法と出力方法を詳しく説明します。

Enumの定義について

Enumの定義は、通常のクラス定義と似ていますが、classキーワードの代わりにenumキーワードを使います。

基本的な構文は次のとおりです。

public enum 列挙型名 {

    定数1, 定数2, 定数3, …

}

例えば、曜日を表すEnumを定義する場合は以下のようになります。

public enum DayOfWeek {

    MONDAY, TUESDAY, WEDNESDAY, THURSDAY, FRIDAY, SATURDAY, SUNDAY

}

Enumには、コンストラクタやフィールド、メソッドを追加できるので、各定数に追加の情報を持たせることが可能です。

public enum DayOfWeek {

    MONDAY(“月”), TUESDAY(“火”), WEDNESDAY(“水”), THURSDAY(“木”),

    FRIDAY(“金”), SATURDAY(“土”), SUNDAY(“日”);

 

    private final String jpName;

 

    DayOfWeek(String jpName) {

        this.jpName = jpName;

    }

 

    public String getJpapaneseName() {

        return jpName;

    }

}

上記のように定義すると、各曜日に日本語名を関連付けることができます。

出力方法について

Enumのメンバーにアクセスするには、列挙型名と定数名をドットでつないで記述します。例えば、DayOfWeek.MONDAYのようになります。

Enumの値を出力する際は、toString()メソッドが自動的に呼び出されます。デフォルトでは、定数名がそのまま文字列として返されます。

DayOfWeek day = DayOfWeek.MONDAY;

System.out.println(day); // 出力: MONDAY

前項で定義した日本語名を出力したい場合は、以下のようにします。

DayOfWeek day = DayOfWeek.MONDAY;

System.out.println(day.getJapaneseName()); // 出力: 月

Enumを便利に使える方法について

Enumを便利に使う方法はいくつかあります。例えば、複数の値を持たせる方法や、メソッドをオーバーライドする方法があります。

複数の値を持たせる

Enumの各要素には、複数のフィールドを定義できるので、関連する情報をまとめて管理が可能になります。

例えば、以下のように主要国と緯度、経度、首都を一緒に定義できます。

public enum Country {

    USA(38.8951, –77.0364, “Washington D.C.”),

    JAPAN(35.6762, 139.6503, “Tokyo”),

    UK(51.5074, –0.1278, “London”),

    FRANCE(48.8566, 2.3522, “Paris”),

    GERMANY(52.5200, 13.4050, “Berlin”);

 

    private final double latitude;

    private final double longitude;

    private final String capital;

 

    Country(double latitude, double longitude, String capital) {

        this.latitude = latitude;

        this.longitude = longitude;

        this.capital = capital;

    }

 

    public double getLatitude() { return latitude; }

    public double getLongitude() { return longitude; }

    public String getCapital() { return capital; }

}

メソッドのオーバーライド

オーバーライドを使うと、各Enum要素に固有の振る舞いを持たせることができます。

オーバーライドにより、switch文を使わずに多態性を活用できます。

例えば、以下のように各動物に対して異なる鳴き声を定義できます。

public enum Animal {

    DOG(“イヌ”) {

        @Override

        public String makeSound() {

            return “ワン!ワン!”;

        }

    },

    CAT(“ネコ”) {

        @Override

        public String makeSound() {

            return “ニャー!”;

        }

    },

    COW(“ウシ”) {

        @Override

        public String makeSound() {

            return “モー!”;

        }

    },

    FROG(“カエル”) {

        @Override

        public String makeSound() {

            return “ケロケロ!”;

        }

    };

 

    private final String jpName;

 

    Animal(String jpName) {

        this.jpName = jpName;

    }

 

    public String getJapaneseName() { return jpName; }

 

    public abstract String makeSound();

}

上記の例では、各動物(Animal)に日本語名(jpName)を持たせ、さらにmakeSound()メソッドをオーバーライドして、それぞれの動物固有の鳴き声を返すようにしています。

例えば、以下のようにして各動物の鳴き声を取得できます。

Animal dog = Animal.DOG;

System.out.println(dog.getJapaneseName() + “の鳴き声: “ + dog.makeSound());

// 出力: イヌの鳴き声: ワン!ワン!

 

Animal cat = Animal.CAT;

System.out.println(cat.getJapaneseName() + “の鳴き声: “ + cat.makeSound());

// 出力: ネコの鳴き声: ニャー!

Enumを使用すると、関連するデータ(動物の日本語名)と振る舞い(鳴き声)をまとめて管理でき、コードの可読性と保守性が向上します。

Enumで使える便利なメソッド

Enumには、便利なメソッドがいくつか用意されています。下記のメソッドを使うことで、単なる定数以上にEnumを効果的に使用できます。

values()

まず、values()メソッドは、Enumの全メンバーを配列として取得でき、Enumの全要素に対して処理をおこなう際に便利です。

例えば、以下のようにすべての曜日を出力できます。

for (DayOfWeek day : DayOfWeek.values()) {

    System.out.println(day);

}

valueOf()

valueOf(String name)メソッドは、文字列からEnumメンバーへ変換できます。

例えば、ユーザー入力や設定ファイルからEnumを生成する際に役立ちます。

DayOfWeek day = DayOfWeek.valueOf(“MONDAY”);

getDeclaringClass()

getDeclaringClass()メソッドは、Enumのクラスオブジェクトを取得でき、リフレクションをおこなう際などに使用できます。

compareTo()

compareTo()メソッドは、Enumメンバー間の順序を比較します。Enumメンバーをソートする際などに使用できます。

   DayOfWeek day1 = DayOfWeek.MONDAY;

    DayOfWeek day2 = DayOfWeek.FRIDAY;

    System.out.println(day1.compareTo(day2));   // 出力: -4

上記の例では、day2に対してday1が順序として前に位置しているため、負の値が出力されます。逆のday2.compareTo(day1)は正の値をとります。

まとめ

Enumは、単なる定数の集まり以上の機能を持つ強力なJava言語の機能です。

複数の値を持たせたり、メソッドをオーバーライドしたりすると、より柔軟なプログラム設計が可能になります。

本記事を参考に、Enumの活用方法を学び、より効率的なプログラミングにお役立てください。