フルスタックエンジニアになるには?必要なスキルや年収などをご紹介
エンジニアの将来像の一つとして、フルスタックエンジニアを目指す方も多くいらっしゃると思います。この記事では、フルスタックエンジニアに必要なスキルや年収、キャリアプランなどをご紹介しています。ぜひともご確認ください。
-
Contents
フルスタックエンジニアとは
一般的には、『複数のポジションで業務をおこなえるエンジニア』のことをフルスタックエンジニア、企業によってはマルチエンジニアと呼称しています。
しかしながら、フルスタックエンジニアに明確な定義はありません。また、フルスタックエンジニアと呼ばれるためには複数のポジションやスキルセットそれぞれにおいて、少なくとも専任のエンジニアがおこなう業務と同等程度の専門性が求められますが、企業や開発現場によって専門性の水準も異なるため曖昧なものになってしまいます。
そのため、フルスタックエンジニアという言葉の概念としては、『さまざまなエンジニア業務を一人で兼任できるエンジニア』あるいは『一人で複数の役割をこなせるエンジニア』などととらえておくとよいかと思います。
フルスタックエンジニアには、ポジションやスキルセットの組み合わせについても明確な定義はありません。
そのため、フロントエンド開発とバックエンド開発、アプリ開発とインフラ開発や、OS、サーバー、データベース、ネットワーク、プログラミングなどのインフラやバックエンド一連の開発業務、上流工程から下流工程の業務を一人でできるエンジニア、などをフルスタックエンジニアと呼んでいる情報も見受けられます。
企業や開発現場によって定義が異なっているため、『フルスタックエンジニア』と転職情報などに記載があった場合は、求められるスキルを確認するようにしましょう。
-
・転職市場で求められるフルスタックエンジニアとは
複数のポジション能力やスキルセットを持ち合わせているフルスタックエンジニアですが、それぞれの専門性が高くなければ評価されることはありません。
実際に、ブラウザ検索のサジェストキーワードでは、『フルスタックエンジニア いらない』『フルスタックエンジニア 器用貧乏』などといったネガティブなものも出てきます。これらはともに、フルスタックエンジニアとしてスキルが中途半端なために生まれてしまったものであると考えられます。(2022年8月現在)
そのため、上記のようなネガティブな印象を持たれない、市場価値のあるフルスタックエンジニアになるためには、どの分野の業務も一人でできる、専門性の高いスキルを持っていなければなりません。
-
フルスタックエンジニアの仕事内容
フルスタックエンジニアの仕事内容を4つピックアップしています。
-
フロントエンド開発
フロントエンド開発とは、ユーザーの目に見える部分の開発をする仕事です。HTMLやCSS、JavaScriptが必須スキルになっています。Webデザイナーが作成したWebデザインを実装していくことが基本業務ですが、フルスタックエンジニアの場合はWebデザインから実装までを一任される求人情報も見受けられます。
フロントエンドエンジニアに必要な言語やスキルは以下の記事でもご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:フロントエンドエンジニアに必用な言語4選 | フレームワーク・ライブラリなどもご紹介
-
バックエンド開発
バックエンド開発はユーザーの目に見えない部分の開発をする仕事です。PHPやRuby、Java、Pythonなど、利用するプログラミング言語は多岐に渡ります。バックエンド開発では、ユーザーがWebページを訪問した際に入力した内容をどのように処理し、どのように情報を反映させるかなどのシステムを開発します。また、開発内容によってはデータベースやサーバー、クラウドサービスなどの知識も必要になっています。
バックエンドエンジニアについての詳細な説明は以下の記事でもご紹介しておりますので、こちらも参考にしてください。
関連記事:バックエンドエンジニアにおすすめな言語とは?未経験でなる方法も解説
-
アプリ開発
アプリとはアプリケーションソフトウェアの略称で、ある目的を持って作成されたソフトウェアのことをいいます。AmazonであればAmazon専用で利用する目的、GoogleマップならGoogleマップ専用で利用する目的で作られたソフトウェア=アプリと説明することができます。
アプリケーションにはWeb、デスクトップ、スマートフォンなどの種類があり、開発職域もフロントエンドとバックエンドで分かれています。アプリ開発では、アプリケーションの種類によって開発する言語が異なってくる可能性があるため、フルスタックエンジニアとして幅広く対応するためには複数のプログラミング言語を習得する必要性も出てきます。
また、アプリケーションのフロントエンドとバックエンド、両方の開発に対応することを『フルスタックに対応する』などと表現している求人情報も見受けられます。
-
インフラ・サーバーの保守・運用
インフラやサーバーなどを構築し、システムをリリースしたあとはそれらを保守・運用する必要があり、自社エンジニアや運用監視サービス会社などを通してシステムに異常がないかをチェックしています。
システム障害の発生はインフラ周りだけでなく、バックエンドやフロントエンド領域で発生する可能性があります。そのため、フルスタックエンジニアがインフラ周りに加えてそれらのスキルを持って入れば、万が一の際にはより迅速にシステムの改善ができるでしょう。
-
フルスタックエンジニアに必要な3つのスキル
フルスタックエンジニアとしてかけ合わせができる、3つのスキルをピックアップしています。
-
・プログラミングスキル
上流工程やインフラ系のエンジニアではプログラミング言語を使わない場合もありますが、フルスタックエンジニアを目指すのであればいずれかのスキルを持っておく必要があります。
-
フロントエンドの開発スキル
上述したように、フロントエンド開発ではHTML、CSS、JavaScriptが必須スキルになります。また、実際の開発現場ではReact.js、Vue.js、jQueryなどのフレームワークやライブラリが用いられるケースも多くなっているため、専門性を高めるためにはこれらのスキルも覚えたほうがよいでしょう。
-
バックエンドの開発スキル
企業によって利用するプログラミング言語が異なっているため、フロントエンドに比べると自身で将来性などをよく考えて、習得する言語を選ぶ必要があります。
主要なバックエンドの言語には、業界全体を通して案件数が多いJava、習得が簡単で案件も豊富にあるPHP、将来性がありニーズも高まってきているGo言語、スタートアップでよく利用されるRuby、機械学習やAI開発にも強いPythonなどがあります。
また、フロントエンドと同じくプログラミング言語ごとによく使われるフレームワークやライブラリがありますので、それらを覚えたほうが専門性を高めることができます。
-
スマホアプリの開発スキル
スマホアプリの開発は、Google社のAndroidとApple社のiOSで分かれています。AndroidではJava、Kotlin、C#、iOSではObjective-CとSwiftが主要な開発言語です。プログラミング言語としての汎用性で選ぶならJava、スマホアプリ開発を自身の強みとしたい場合はKotlinかSwiftをおすすめします。
-
・OSやミドルウェアのスキル
インフラやバックエンド開発で専門性を高めるために身につけておきたいスキルです。OSやミドルウェアを選定してサーバーやデータベースを構築するため、システム開発以外にこれらの知識があるとフルスタックエンジニアとして専門性を高められるでしょう。
OSにはWindowsやmacOS、Linuxなどがあり、ミドルウェアにはデータベースサーバーのOracleやMySQL、WebサーバーではApache、Nginx、LiteSpeedなどがあります。
-
・クラウドサービスのスキル
近年ではクラウドサービスを利用したシステム開発が増加しています。そのため、インフラやバックエンド開発の専門性を高めるために身につけておきたいスキルの一つです。クラウドサービスは事業者が提供するサービス内容によって、SaaS(Software as a Service|サース)、PaaS(Platform as a Service|パース)、IaaS(Infrastructure as a Service|イアース)に分かれています。
SaaSにはMicrosoft Office 365やカレンダーアプリ、PaaSにはWindows AzureやGoogle App Engine 、IaaSにはGCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Services)などがあります。
これらを適切に利用する知識に加えて、IaaSのGCPやAWSなどにサーバーを構築するケースも増えているため、それぞれに対応したスキルも必要になります。
-
フルスタックエンジニアの年収相場
弊社R-Stoneのフルスタックエンジニアの平均年収は729万円で、年収幅は400万円〜2300万円です。最高推定年収のものはフロントエンド・バックエンド・クラウドを用いたシステム開発業務となっており、最低推定年収のものはWeb系システムの提案から開発までの経験が求められています。(2022年8月現在)
また、弊社の求人情報でもフルスタックエンジニアの職務内容に明確な定義などはなく、企業によってポジションやスキルセットはさまざまです。
-
フルスタックエンジニアになるには?
フルスタックエンジニアになるために、意識しておきたいことを4つお伝えします。
-
専門分野を一つに絞らない
複数ポジションの仕事をこなすようになるためには、専門分野を一つに絞らず、対応できる職域を広めていかなければなりません。そのため、まずは初めて就いた職務のスキルアップを常に図り、専門性を高めていきましょう。
一つの職務について専門性を高めたあとは、できる限り関連性のある職種に転身するほうが好ましいです。過去に培った知識を使いつつ、新しい分野の仕事を覚えていくようにしましょう。
-
業界全体を俯瞰的にみる
IT業界は人手不足であるとよくいわれますが、ニーズが高いスキルなどは常に変動していきます。ご自身が働いている職種で流行しているスキルや今後の流れを把握するために、業界全体を俯瞰的にみれるように努めましょう。
広い視野を持っていると、現在の職種を問わずフルスタックエンジニアとして身につけるべきポジションやスキルなどが見えてくると思います。また、自身が持っているビジョンによって業界や業務の見え方が変わってくるため、エンジニアとしての将来像をしっかりと持つことも大切です。
-
下流工程の経験を積む
下流工程とは、上流工程で作成された設計書などに基づきシステムを実装する工程です。さまざまなシステム開発に携わり、トラブルなどにも適宜対応しながら経験を積んでいきましょう。また、下流工程に慣れてきたらどのような意図を持って設計書が作成されているか、他の方法を選んだらどうなるか、などについて考えるとエンジニアとしての思考が磨かれるでしょう。
-
上流工程の経験を積む
上流工程を経験することにより、ワンステップ進んだエンジニアになることができます。上流工程ではエンジニアとしての知識やスキルに加え、開発するための人材や納期、費用などについて複合的に考えるケースも出てきます。経験を積むことでエンジニアとしてのレベルが上がり、転職時などでも歓迎される人材になるでしょう。
-
フルスタックエンジニアのキャリアパス
フルスタックエンジニアのキャリアパスを2つお伝えします。
-
マネジメントする側にまわる
フルスタックエンジニアになるには複合的な知識・スキルが必要になるため、フルスタックエンジニアとして働いているうちに俯瞰的な視野を身に付けることができるでしょう。
そのため、開発エンジニアをリードするテックリード(リードエンジニアとも呼ばれる)、システム開発のプロジェクト責任者であるプロジェクトマネージャー(PM)、社内エンジニアの技術面の人事、育成などをマネジメントするエンジニアリングマネージャー(EM)など、マネジメント関連の職種がキャリアパスの候補に上がってきます。
これらの職種は一般的なエンジニアの上位職に当たるため、昇進や転職が決まった際は年収アップにつながることが期待できます。
-
よりフルスタックエンジニアとしてのスキルを極める
フルスタックエンジニアとしてのスキルを極めていくことも、キャリアパスの一つに挙げられます。上述したように、IT業界で利用されるスキルは移り変わっていくため、常に最新の技術を学ぶことで高収入を得ることができるでしょう。
実際に弊社R-Stoneの求人情報では、フルスタックエンジニアで最新技術の利用を求めるものの平均年収は806万円となっており、全体平均年収の729万円より高くなっています。(2022年8月現在)
-
フルスタックエンジニアの将来性
フルスタックエンジニアの将来性について、2つの観点から説明します。
-
フルスタックエンジニアの強み
フルスタックエンジニアの大きな強みは複数のポジションやスキルセットを持ち合わせていることです。
サッカーや野球などで複数のポジションをこなすプレーヤーのことをユーティリティープレーヤーといい、それぞれにしっかりとしたスキルを持っていれば評価される傾向があります。それはビジネスをしている企業も同じであり、企業の状態によって配置を振り分けることができるフルスタックエンジニアは歓迎される人材になるでしょう。
また、フルスタックエンジニアは対応できる職域が広いため、自身が転職活動をする際も応募できる企業の幅が広がるといったメリットもあります。フルスタックエンジニアとしての求人でなくとも、持っているスキルで応募する企業を選べるため、この点においても他のエンジニアにはない強みを持っているといえるでしょう。
-
フルスタックエンジニアの需要
スタートアップや少人数で開発をする現場では、人件費の削減や生産性の向上が見込まれるフルスタックエンジニアの需要が高くなっています。
また、一般的に大規模開発では開発領域によってチームが組まれます。そのため、フルスタックエンジニアが不要だとも考えられますが、例えばフルスタックエンジニアが保守・運用のスキルを持っていればシステム開発終了後にも対応することが可能です。人件費の削減や生産性の向上は大手企業などでも通用する考え方のため、フルスタックエンジニアはスタートアップと同じように、大企業でも評価されることが期待できます。
-
まとめ
フルスタックエンジニアは対応職域が広いため、評価される人材になるにはある程度の努力が必要です。幅広い知識やスキルを持つことで自身のスキルアップやキャリアアップにつながり、IT業界やシステムについての見え方も広がっていくでしょう。
知識が増えていく楽しさや、年収アップによる実質的な利益も期待されますので、自身の将来像をしっかりと描いて日々の業務に励んでいきましょう。この記事が少しでもお役立てになれば幸いです。
前職は、専門商社の営業職をしておりました。 全国に支店がある企業でしたが、人事専門の部署がない組織体系で 中途採用は各拠点ごとに行っておりました。 戦略的な採用ではないこともあり、ミスマッチも起きやすく 人材が定着しないことに大きな課題感を持ちました。 売上を伸ばしていき会社を成長させていくのは、働く社員一人ひとりであると感じ、 企業に最も重要なのは「人」であると強く実感しました。 人と企業のマッチングの重要性を考える中で人材業界へ興味を持ち、 サービスの質を追求するアールストーンへ入社しました。