データサイエンティストに必要な資格とは?年収や仕事内容、必要なスキルもご紹介
データサイエンティストは、昨今の転職市場でニーズが急上昇している職種の一つです。今回は、これからデータサイエンティストを目指す方、またデータサイエンティストとして有利な転職をしたい方に向け、取得しておきたい資格について解説していきます。
Contents
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、ビッグデータの分析を通して有用な知見を見い出し、それをビジネスに活用する専門家です。一般社団法人 データサイエンティスト協会は、データサイエンティストを「データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」と定義しています。
仕事内容
データサイエンティストの働き方としては、自社のビジネスのために業務に従事するケースと、クライアントのビジネスのためにサービスを提供するケースがあります。いずれの場合も、仕事内容や流れはおおむね同じです。
データサイエンティストはまず、データ分析の対象となる業務の責任者にヒアリングをして、データ分析の目標を設定します。次に、データの担当者にヒアリングをして、分析するデータがどのようなものかを確認し、データを加工しながらモデリングをします。モデリング作業が終わったら、そのモデルが適切かどうか判断するため、効果検証をして、さらに過去のデータだけでなく、様々なデータに対して有効なモデルかどうかを検討し、問題がないことを確認したうえでサービスとして実装します。
※参考:データサイエンティスト – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(日本版O-NET)
年収
2020年にデータサイエンティスト協会が実施したアンケートによると、データサイエンティストの平均年収は791万円となっています。2016年は729万円、2018年は809万円、2019年は769万円、2020年は791万円と、高い水準で推移していることが分かります。
※参考:データサイエンティストのリアル|データサイエンティスト協会 調査・研究委員会(2021年4月7日)
データサイエンティストの平均年収や転職事情に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
データサイエンティストに必要なスキル
これからデータサイエンティストを目指す方や、データサイエンティストとして有利な転職をしたい方は、どのようなスキルが重視されるのかを知っておくべきです。データサイエンティスト協会は、データサイエンティストとして活躍するために必要なスキルとして、以下の3つのスキルを挙げています。
ビジネス力
データサイエンティストに欠かせないスキルの一つが、ビジネス力です。ビジネス力とは、課題背景を理解したうえでビジネス課題を整理し、解決する力のことです。
データサイエンティスト協会は、各スキルを4つのレベルに分類しており、データサイエンティストとして独り立ちできるレベルのビジネス力を以下のように定義しています。
・仮説や既知の問題が与えられたなかで、最適解・最大解を見い出すことができる。
・扱っている課題領域で新規の課題を切り分け、構造化できる。
・当該プロジェクト・サービスを超えて、必要なデータの当たりをつけることができる。
データサイエンス力
データサイエンティストに欠かせないスキルの一つが、データサイエンス力です。データサイエンス力とは、情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力のことです。
データサイエンティスト協会は、データサイエンティストとして独り立ちできるレベルのデータサイエンス力を以下のように定義しています。
・SPSS/SAS/Rなどが使える。指示されなくてもサンプル抽出ができるとともに内容を確認できる。
・データクレンジング、分布、単回帰やP値の概念を理解し、活用することができる(二次元の分析はできる)。
データエンジニアリング力
データサイエンティストに欠かせないスキルの一つが、データエンジニアリング力です。データエンジニアリング力とは、データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力のことです。
データサイエンティスト協会は、データサイエンティストとして独り立ちできるレベルのデータエンジニアリング力を以下のように定義しています。
・大規模のファイルや、データベースにアクセスし、大量の構造化データを処理することができる(一般的なスプレッドシートで処理不能な規模感への対応力)。
※参考:データサイエンティスト協会、データサイエンティストの ミッション、スキルセット、定義、スキルレベルを発表|一般社団法人データサイエンティスト協会
データサイエンティストにおすすめの資格
データサイエンティストを目指す方や、データサイエンティストとして有利な転職をしたい方におすすめの資格を10個ピックアップしてご紹介します。
データサイエンティスト検定
データサイエンティスト検定(DS検定)は、データサイエンティスト協会が主催する検定資格です。データサイエンティスト検定に合格すれば、データサイエンティストとして最低限の実務能力および知識を備えていることを証明できます。また、最低限の実務能力・数理・AI教育のリテラシーレベルを備えている証明にもなります。
データサイエンティスト検定がスタートしたのは2021年9月とまだ歴史は浅く、現在のところ、合格基準などは公表されていませんが、今後の受験者増加が予想されています。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されている国家試験の一つで、ITの基本的な知識と技能があり、実践的な活用能力を身に付けているかどうかが問われます。データサイエンティストだけでなく、システムエンジニアやITエンジニアにも取得している人、もしくは取得を目指す人が多い資格です。
基本情報技術者試験に合格すれば、コンピュータの基本的な仕組みやネットワーク、セキュリティ、データベースなどの基礎知識を有していることの証明になります。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されている国家試験の一つで、ITの応用的知識と技能があり、高度IT人材として方向性を確立しているかどうかが問われます。
上述した基本情報技術者試験の上位試験に当たるため、基本情報技術者試験に比べると難易度が高く、合格率は20%程度です。そのぶん、合格できれば転職の際に大きなアドバンテージになるはずです。応用情報技術者の資格取得者に資格手当を支給している企業もあるため、収入アップも期待できます。
データスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されている国家試験の一つで、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たせるかどうかが問われます。
データスペシャリスト試験は、データサイエンティストを目指している人だけでなく、インフラエンジニアやアプリケーション開発者などにとっても有用な資格です。ただし、難易度の高い試験であり、令和2年におこなわれた試験の合格率はわずか15.8%でした。合格するためには、一定以上の学習時間が必要になると考えておきましょう。
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験(オープンソースデータベース技術者認定試験)は、特定非営利活動法人LPI-Japan事務局が開催している認定試験です。主に、LPI-Japanの製品であるPostgreSQLに関する実践的な知識や技術力が問われ、合格することでOSS-DB技術者の認定を受けることができます。
データサイエンティストとして働くうえで、PostgreSQLを取り扱う機会は少なくありません。OSS-DB技術者認定試験は、OSS-DB SilverとOSS-DB Goldの2つのクラスがありますが、OSS-DB Goldを取得できれば転職時に大きなアドバンテージになるでしょう。
統計検定各級
統計検定はその名のとおり、統計についての知識や応用力が問われる試験です。データサイエンティストとして働くためには、統計に関する知識が欠かせないため、準1級や1級など難易度の高い級を取得できれば、転職の際に有利に働くでしょう。
オラクルマスター
オラクルマスターは、世界中で高いシェアを誇るオラクル社のOracle Databaseに関する知識が問われる試験です。データサイエンティストなどは、オラクルデータベースの管理に携わるケースも多いため、オラクルマスターを保有していれば高い評価につながるでしょう。
オラクルマスターは、レベル別にBronze、Silver、Gold、Platinumに分かれており、Silver以上は世界共通の資格となっています。
G検定・E資格
G検定およびE資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催している検定資格です。
G検定は、ディープラーニングに関する知識を事業活用する人材(ジェネラリスト)向けの検定です。ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかが問われます。E資格は、ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)向けの資格で、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかが問われます。
統計士・データ解析士
統計士およびデータ解析士は、一般財団法人実務教育研究所がおこなう日本で唯一の統計関連の通信教育であり、通信講座の修了によって資格が認定されます。
現代統計実務講座の通信教育を修了することで、統計士の資格が認定されます。統計とは、データを解析し、その背後にある現象を理解して利用価値の高いデータへと変えていくことで、データサイエンティストにとって必須のスキルだといえます。
多変量解析実務講座の通信教育を修了することで、データ解析士の資格が認定されます。多変量解析とは、多面的な特性を備えている現象の特徴を把握するために、その多面的な特性(多変量)についてのデータを同時かつ総合的に処理する統計的手法のことで、こちらもデータサイエンティストとして働くうえで非常に重要なスキルになります。
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している試験で、Pythonを使ったデータ分析について出題されるほか、データ分析の開発環境であるJupyter Notebookや、NumPy、pandasなどのPythonライブラリに関する知識も求められます。
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している試験としては、Pythonの基本的な使い方や仕組み、文法の基礎などに関する知識が問われるPython3エンジニア認定基礎試験もあります。Python3エンジニア認定データ分析試験は基礎試験の上位に当たる試験で、基礎試験に比べて難易度も高くなりますが、データサイエンティストとして活躍したいのであれば、Python3エンジニア認定データ分析試験の合格が望まれます。
>> Python3エンジニア認定データ分析試験の詳細はこちら
Pythonに関する資格については、以下の記事でも詳しく解説しています。
>> Python資格試験の種類とは?難易度や勉強方法を紹介
まとめ
データサイエンティストは豊富な実績が求められる職種ですが、経験が少ない人でも、資格取得によって知識・スキルをアピールできれば、好条件での転職も不可能ではありません。データサイエンティストとしてより良いキャリアを形成するため、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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