エンジニアゼロから3カ国で20名を採用。DXを推進するビーボのIT戦略とは?
新規事業開発室 室長/CTO 中川雅志氏
2010年に設立され、台湾やフィリピンなどにも進出し、急速な発展を遂げている株式会社ビーボ。 同社は、美容健康商材のD2C事業や子育てメディアの運営に留まることなく、⼥性活躍企業と産後⼥性を繋ぐサービス「QOOLキャリア」といった新規サービスを展開するなど、企業理念に掲げるお客様の〝なりたい〟を実現させるため、情熱を込めてビジネスを拡⼤させている。 しかし、2年ほど前までは社内にエンジニアは0名と、ITとはほど遠い社内環境だった。そんなビーボでは、ここ2年足らずで日本、フィリピン、ベトナムの3カ国で20名のエンジニア採用に成功し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を急速に推進している。その原動力となっているのが、2017年にジョインしたCTOの中川雅志氏だ。 中川氏のこれまでのキャリアからビーボにおけるエンジニアの組織体制、活躍のフィールドなどについてお話しを伺った。
幼少のころから、プログラミングに親しむ
中川さんがエンジニアになるキッカケやこれまでのキャリアについてお聞かせください。
中川氏:最初はゲームや仕組みづくりに興味を持っていたんです。サイコロや鉛筆、方眼紙を使ってゲームを作っていましたね(笑)。小学校3年生くらいから、MSXを使ってプログラミングを始めました。中学生のときには本格的にプログラミングに取り組んで、友達とアイデアを出しながら、ゲームとかも開発していましたね。あと、雑誌の何月号にどんな記事が載っていたかを分かるようにデータベースを構築したり、絵を描くツールも作りました。Windows 95もまだ発売されておらず、マウスもなくて、キーボードだけの時代でしたね。雑誌にゲームなどを投稿して、掲載料を9,000円くらいもらったこともありました。
高校卒業後には、SIerでエンジニアとして働き始めたと。
中川氏:すでに高校生のときにはアルバイトでプログラミングもしていましたし、プログラミングの国家資格も高校在学中に取っていたため、学校に行くのではなく実際に働く中で学びたいと考え、50 名規模の SIer でエンジニアとして働き始めました。
25歳で起業されたそうですが、元々計画していたのでしょうか?
中川氏:起業は考えていなかったのですが、SIerで大規模案件も経験して、ちょうど携帯電話(ガラケー)が普及し始めていた頃だったんです。アプリで色々と動かせるようになって「これはチャンスだな」と思い、同僚と起業することにしました。ガラケーでマンガを読めるサービスを作ろうと動いていました。それが2000年頃の話で、「iモード」や「FOMA」の時代ですね。 しかし、マンガのコンテンツなどを集めるのが大変で、国内ではうまく進まなかったのですが、アジアの方では興味を持ってもらえたんです。海外用にカスタマイズしたのですが、なかなか上手くいかずに頓挫…。私は大手コンテンツプロバイダーへ転職し、その後アドテクの会社で副本部長として働いていました。
重要なポジションにいながら、なぜビーボへジョインしようと思ったのですか?
中川氏:気が付いたら会社での立場も上になっていて、特に不満もなく、転職するつもりはありませんでした。あるとき、ずっと付き合いのある転職エージェントの方と飲んでいたら「転職するつもりはないと思うけど、面白い会社があるよ」と紹介されたのがビーボだったんです。話だけでもと行ってみると、テクノロジーがないのに価値を生み出していて、なぜそこまでできるのだろうと思って、興味を持ちました。
代表の武川さんの考えにも共感したと聞いています。
中川氏:そうですね。お客様のために価値を提供する。幸せのために、お客様の「なりたい」を全力でサポートするのがこの会社。その部分に共感しました。D2C事業をメインとしながらも社内にエンジニアがいなかったのですが、この会社にテクノロジーが加われば、ビジネスがさらにスケールしていくという大きな可能性を感じて、わくわくしましたね。
エンジニア0名から、大きく成長させる
日本・フィリピン・ベトナムの3カ国で20名のエンジニアの採用に成功したストーリーをお聞かせください。
中川氏:2017年の10月に入社して、2年弱でここまできました。代表の武川の中でテクノロジーをベースに新規事業を生み出し、カスタマーサクセスをスケールさせていきたいという思いがありましたので、それらをカタチにするのが私のミッションです。そのために、新たなプロダクトを立ち上げようと、まず社外のパートナー企業と開発を進めました。そのパートナー企業がベトナムにあったので「直接行ってやり取りした方が早い」と思い、入社して3週間後にはベトナムに40日間くらい行っていました(笑)。
それは、かなりのスピード感ですね。
中川氏:リモートで代表と会話を重ねていく中で、システムを内製化したいという考えも聞いたんです。ちょうど知人がベトナムにいて、食事中にその話をしたら盛り上がって(笑)、内製化のプロジェクトを一緒にやることにしました。代表がベトナムに来るタイミングに合わせてプレゼンをしたら、無事にGOサインが出ました。それが、2017年11月。年末は準備にあてて、年始めから内製化プロジェクトを進めました。国内やベトナムでのエンジニア採用を考えたのですが、人件費など、諸々のことを考えてフィリピンで採用を進めることにしました。
現地での採用はスムーズに進みましたか?
中川氏:最初は現地のメディアに求人を出していたのですが、エンジニアのレベルも分からないですし、新規事業も抱えている私が一人ずつ見ていくのも厳しいなと。そこで、一次選考を自動化しようと、求職者が受験できるテスト用のサイトを開発しました。そのテストに合格した人だけ書類選考し、OKだったら面接する流れにしたんです。海外チームというとベトナムが多い印象ですが、そこと比べるとフィリピンはITのレベル、経験値共に低い。そのためベーシックなIT知識があれば、あとは人間性を重視した採用を進めていきました。
日本国内のエンジニアも4名になったと聞いています。採用にあたって大切にしていることはなんでしょう?
中川氏:ビーボの価値観を大切にできるかですね。エンジニアも職人気質で技術を突き詰めたい人、ユーザーに価値を提供したい人とパターンが分かれますが、私たちは後者を求めています。
ビーボの開発環境はどのようなカタチになっていますか?
中川氏:ゼロから作り上げている状態で、技術的なチャレンジはこれからですね。私が入社したときに、初めてサーバの契約をしたくらいですから(笑)。サーバはAWSを使っています。インフラを毎回構築するのは大変なので、同じ環境で使えるサーバとして選びました。開発言語はPHPにしています。これは海外のエンジニアを確保するためにもメリットが高いので採用しました。ただし、プロジェクトによっては、SwiftやJava、Pythonを使う場合もあります。
社内のIT化も推進していると。
中川氏:社内システムを構築している段階ですが、作業によっては自動化したものもあります。フィリピンで採用したエンジニアにも、社内のIT化に関わるシステム開発を任せています。また、新サービスとしては、女性活躍企業と産後女性を繋ぐサービス「QOOLキャリア」をリリースしました。かなり短期間での開発でしたが、何とかまとめることができました。
エンジニアの活躍の場が多岐に渡りますね。
中川氏:はい。どんどん新規事業も立ち上がっていくので、エンジニアはそちらに関わることもできます。開発だけでなく、お客様に価値を提供するためにはどうするかという部分まで、アイデアを出すことができますね。今後はさらにテクノロジーを駆使して、蓄積したデータを使ったレコメンド機能を搭載したり、カスタマーサクセスを効率化していくような領域にまで挑戦したいを考えています。
新規事業にまでガッチリ入れると。
中川氏:そうですね。その辺の区分がないのは、ビーボの大きな魅力です。お客様への価値提供を一緒に考えられる人だと、大きく活躍できるでしょうね。
今年の6月末には、フィリピンで全エンジニアを集めてテックミーティングを開催したと聞いています。
中川氏:ビーボがどんな会社で、大切にしていることは何かを共有して、エンジニアの目線を合わせられるようにしました。日本のメンバーは1週間くらい現地に滞在していましたね。各国のエンジニア同士初顔合わせなので、ライトニングトークでは打ち解けるために、お酒とピザを配りました(笑)。 みんな英語で発表したんですが、行く前は日本のメンバーは「英語ムリだよ」と言っていましたが、やってみると何とかなるもんですね。オフィスはセブ島のセブシティにあるオフィス街、ITパークにあります。リゾート地で有名ですが、セブにはそうした場所もあるんですよ。
6月21日(金)・24日(月)・25日(火)の3日間、フィリピン支社にて開催されたビーボ初のテクノロジーカンファレンス「Bbo Global Tech Meeting」の様子。日本・フィリピン・ベトナムのエンジニアが集結した。
自分の仕事を決めずに、自由に動けるエンジニアを求める
エンジニアの組織体制など、今後の計画があれば教えてください。
中川氏:エンジニアは日本・フィリピン・ベトナムの3カ国で合計50名体制を目指しています。技術としてはUI、UXもそうですが、マシンラーニングでデータを学習させて、それらのテクノロジーをカスタマーサクセスに反映させていきたいと考えています。また、ユーザーから得られる多種多様なデータ、音声データも含め解析していきたいですね。 フィリピン・ベトナムのエンジニアには、「今後、マシンラーニングは基礎技術になってSQLと同じような必須技術になるから身につけていこう」と話しています。将来的には、テクノロジーをいかにビジネスに反映するかを検討する、R&D的な部門もフィリピンかベトナムに立ち上げる計画もあります。
今後は蓄積されていくビックデータをどんどん使っていくと。
中川氏:そうですね。お客様対応に関しても習熟度によって差が出るので、音声やメール、チャットのデータを解析して、“こう聞かれたら、こう返す”といった内容を共有できれば、サービスの均一化にも繋がります。
最後にビーボで活躍できるエンジニア像をお聞かせください。
中川氏:本当に壁がないので、自分のやる仕事を決めずにどんどんできる方が当社にマッチすると思います。国内メンバーは20代〜40代までの幅広い年齢層のエンジニアが4人活躍していて、今後は10人くらいまで増やしていきます。既存の事業や新規事業とからめて、アプリ開発もどんどん進めていく予定です。お客様に価値あるものを提供するという、ビーボの思いに共感できる方であれば必ず活躍できます。
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