AIでマーケティングテクノロジーをリードするフロムスクラッチの開発力とは?
執行役員 CTO 井戸端洋彰氏
マーケティングテクノロジーの領域で注目を集めている株式会社フロムスクラッチ。 Forbesの有望スタートアップに2年連続で選出され、2015年には総額約13億円の資金調達を実施している。また、アドバイザリーボードに元LINE株式会社代表取締役社長、現C Channel株式会社代表取締役社長の森川亮氏を迎えたことや、Jリーグクラブであるアビスパ福岡のマーケティングパートナーになるなど、優秀なメンバーとテクノロジーを有している印象が強い会社の1つ。 日本にマーケティングテクノロジーのイノベーションを起こす背景やその強さの源泉について、執行役員/CTOの井戸端洋彰氏にお話を伺った。
マーケティングオートメーションの波及
b→dashはマーケティングプロセスに必要な業務・工程をワンストップで行えるプロダクトです。しかしながら、企業においてマーケティングの活用スコープは広がり続け、各活動単位に使用するツールも分散しており、精度の高い施策が打てないという状況が続いています。 そのような課題に対しb→dashは、データの取得・統合・活用をたった1つのプロダクトだけでできるようにしました。これにより、これまで分散されていたデータが統合されていくため、より精度の高いOne to Oneマーケティングの実現や本質的な分析業務が可能になり、企業のマーケティング活動のあり方を変えていくことができます。
マーケティングの力で日本を再生する
日本の企業力が停滞してしまっている理由の1つに「マーケティング力」の欠如があると考えています。今でもなお、国内企業の技術力は決して衰退していないと思いますが、一方で「売る力」については足りていない、ということです。 例えば、そもそも日本とアメリカとではマーケティングに対する重要性の違いを挙げることができます。広範囲なエリア展開に加え、様々な人種に対してマーケティングをする必要があるアメリカに比べると、7~8年くらい日本は遅れているとまで言われています。 例えば価格やクリエイティブ、機能といったアプローチについてや、そもそも市場に受け入れられるものを定義する力についても、今よりももっと引き上げる必要があります。フロムスクラッチではそんな構造を、マーケティングテクノロジーによって変えていきたいと考えています。 とはいえ、この課題って実は顕在化していて、今いろいろな企業がマーケティングに力を入れているのですが、実態としてそのほとんどがリソースの問題でなかなか本気で取り組むことができない状況です。 我々はマーケティング領域のコンサルティングから始まった会社だからこそのノウハウと、高い技術力を掛け合わせてこの課題を解決できると考えています。
技術力で課題をクリアする
企業のマーケティング活動は想像以上に広範囲に業務が分散されているので、必然的にビジネス側の要求は複雑で難易度の高いものになります。業務システムのイメージが近いかと思います。 そこに対してある種の“プラットフォーマー”としてソリューションを提供し、課題を解決するアプローチを取るので、フロムスクラッチのメンバーは常に視点を高く持っている必要があります。ただ機能を開発しているわけではなく、企業のマーケティング活動のインフラを開発するという意識を持つ必要があるということですね。常識を否定しつつ、新しいマーケティングのあり方を考え、そしてその実現手段を模索しています。 技術的な観点がネックで出来ないと思ったことは今までなく、目的を達成するためにアプローチの方法をピボットしていくことでクリアになります。人工衛星を開発していたときの、手探り状態からでも解を導く経験が活かされていますね。人工衛星の開発を考えると、作れないものなんてない、と思えてしまいます(笑)。
マーケティングオートメーションからマーケティングプラットフォームへ
マーケティングオートメーションというカテゴリだけで見れば、日本においては一定の市民権を得てきたと考えています。「興味がある」から「やりたい」に温度感が変化してきています。ただし、これをマジョリティまで引き上げるにはクライアントサイドのボトルネックを解消する必要があります。 例えば、既存のデジタルマーケティングツールが複雑に入り組んでいるため、一気に綺麗にすることが及ぼす業績リスクに尻込みしてしまうクライアントや、事業部単位では積極的なのに対して全社での整合性が取れなくなるため動きが遅くなってしまうクライアントなど、導入に付帯する課題は企業によって様々あります。 だからこそ、弊社のようなコンサルティング集団としてのノウハウもありながらプラットフォーマーとしてプロダクトを提供することで本質的なROIを提示できる会社が、この領域をリードしていく必要があると感じています。我々はマーケティングオートメーションという、いちツールを提供しているわけではなく、マーケティングプラットフォームという、総合的なマーケティング支援ソリューションを提供しているのです。
AI(人工知能)の可能性
自社でコンサルティング人材を抱えているからこそ、積極的にAI(人工知能)への投資ができる優位性があります。AIも学習が必要なため、返ってくるアウトプットの「確からしさ」の検証や説明においてはまだまだコンサルのサポートが必要です。 段階的にアウトプットの精度を上げていきたいと考えており、例えば単純なスコアリングとレコメンドから始めて、徐々にユーザー自身が重みづけをしていくことでそのフィードバックから学習を重ねていけるようにしたいです。 将来的には、マーケティング施策そのものを人工知能が提案し、そこでROIが最大化されるような、新しいマーケティング活動の実現を目指しています。
フロムスクラッチの働く環境
開発水準の高さとエンジニアオーナーシップ
エンジニアとしての役割が何かを自分たちで理解するようにしています。誰かが考えたものを作ることが役割ではなく、技術力で課題を解決することこそがミッションであり、そのように理解すると強いオーナーシップが発揮されます。 そのため、ビジネスサイドに対しても芯をついた質問を投げかけるなどいい意味での緊張感があります。 またプロダクトの特徴として、ビジネスに直結するBtoBの業務システムのため、いわゆるWebアプリケーション開発とは求められるスキルセットが異なると思っています。クライアントのビジネスと業務を理解し、場合によっては実際に業務フローを書いたりだとか、そこをイメージしながら開発できることが必要となります。 そのために必要な業務知識は自身で習得し、ビジネス×技術の両軸で課題を解決するように育成しています。
BtoBプロダクトの開発体制
組織機能として、“テクノロジー”、“開発組織”、“プロダクトオーナー”、“UXデザインマネージャー”、“リサーチ”の5つの体制を構築しています。 例えばプロダクトオーナーがプロダクトの方向性を描いて、UXデザインマネージャーがユーザー体験を考え、テクノロジーが実現可能性を検討する、という組織間連携をすることでプロダクトを磨いています。特に、UX機能組織は特徴的だと思っていて、いわゆる業務システムは「使いにくい」が代名詞となっていましたが、b→dashにおいては「使いやすさ」の点においても重視しています。 BtoC向けアプリケーションとの違いとして、ターゲティングが明確にできるので深さを追求する点が大きく異なると考えています。BtoCの場合、ペルソナを定義するものの実際にどんな人が使うかは絞り切れないし、あえてずらしているケースもあります。それがBtoBになると、明確に使う企業を意識し、徹底してユーザーの業務や目的を把握することで価値貢献の深さで勝負しています。BtoCサービスでは当たり前のように考えられている手法や開発が、実はBtoBだと全然できてなかったりする。そういった妥協を一切許さず、徹底的に素晴らしいサービスを開発しようという強い意志をエンジニアが持っていることも強みの1つですね。
フロムスクラッチで働くエンジニア像
「課題が大きければ大きいほど燃える人」と一緒に働きたいです。 向き合っている課題は非常に困難であり、これからAI(人工知能)のような先端テクノロジーも積極的に取り入れていきます。その中でバリューを発揮するには、まず圧倒的な熱量をもって取り組めることが必要だと考えています。 また、チームワークを重視しているのでコミュニケーションであったりチームの視座で考えられることが大事だと思います。「開発はチームスポーツ」だと思っていて、一人一人がばらばらに開発するのではなくそれぞれがお互いの役割を理解しながら連携して、ゴールまでボールをつないでいくことを期待しています。 一方、スキル面でいうと絶対条件があるわけではないです。現状WebアプリケーションはRubyで開発しており、内部のデータ処理はJava、Scala、BigDataまわりはHadoop、Hive、Prestoを使っています。今後はその環境にAI(人工知能)を組み込んでスコアリングの精度を上げていくことから始めていきたいと考えていて、そういった意味で、チャレンジする環境はたくさんあります。
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