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ネクストビート CPO/CIO/兼VPoE 三井氏インタビュー

技術課題解決プロジェクトや教育制度を導入。自立型のエンジニア組織をつくり、多彩なサービスで社会課題を解決する。

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■CPO/CIO/VPoE 三井陽一氏

東京大学理学部卒。1997年、テニススクールのコーチとして社会人のキャリアをスタート。ITエンジニアに転身後、スタートアップ2社において、テックリード/CTOとして様々なプロダクト開発に従事。その後、株式会社ラックにおいて8年半に渡りサイバーセキュリティのプロダクト開発・研究開発を推進。クラウドマネージドサービスのトップベンチャーである株式会社FIXERを経て、2020年3月、CIO兼VPoEとしてネクストビートに入社。2021年11月CPO就任。CISSP, CCSP, CISA, CISM, CSM, CSPO, PMP, 知的財産アナリスト。

人口減少社会を迎え、高齢化や過疎化など多様な社会課題が山積する日本。こうした課題の解決をミッションに掲げ、ライフイベント・地方創生・グローバルの3領域を軸に様々なサービスを展開しているのが、株式会社ネクストビートだ。なかでも、子育てに携わる保育士・保育園・保護者の方々に対して提供している「保育士バンク!」や「KIDSNA(キズナ)」を中心とした複数の IT サービスは、すでに多くのユーザーから支持を得ている。

このようなサービスを支えているのが、フルスタックで開発を進める約40名のエンジニアたち。彼らの技術やモチベーションのさらなる向上を実現させるため、ネクストビートではさまざまな学びの機会を取り入れているという。――そこで今回、エンジニア組織のマネジメントを担当する執行役員 CPO/CIO/VPoEの三井氏にインタビューを実施。ネクストビート独自の開発環境や仕事のやりがいについて、詳しくお話を伺った。

子ども・孫の世代も、幸せになれる社会をつくりたい

まずは、ネクストビートの特徴や事業概要についてお聞かせください。

三井氏:当社ネクストビートは、「人口減少社会において必要とされるインターネット事業を創造し、ニッポンを元気にする。」というコーポレートミッションのもと、社会課題の解決に向けてバリューを発揮することを目指しています。

人口減少社会という社会課題は、1つや2つの事業だけで解決できるものではありませんので、事業領域を広げていく必要があります。当社は、単独の事業だけにコミットするのではなく、ライフイベント・地方創生・グローバルの3領域を中心として、複数事業を同時に立ち上げて成長させています。

三井さんは、2020年3月からネクストビートに参画されました。そのきっかけを教えてください。

三井氏:10年ほどスタートアップ2社でテックリード/CTOとしてプロダクト開発を手掛けた後、サイバーセキィリティ、クラウドマネージドサービスといった領域に関わってきました。

もともとは、仕事にコミットしながらハッピーな人生を送れればそれでいいと考えていたのですが、子どもが生まれたのをきっかけにその考え方が大きく変わりました。子どもはもちろん、孫の世代も幸せになれる社会づくりが必要であると考えるようになったのです。そうした中で、ネクストビートの事業領域に興味を持ち、参画することを決意しました。

三井さんはVPoEというポジションを担っています。エンジニア組織は、VPoEとCTOが二頭体制で組織を牽引しているのでしょうか。

三井氏:現在はCTOが不在であるため、私がエンジニア組織を管掌する体制を取っていますが、社内外で適任者がいたらCTOポジションをお任せしたいと考えています。今後は、CTOが技術面を、VPoEがマネジメント面を管掌する二頭体制を作り上げていきたいと考えています。

ビジネスサイドとの距離が近く、ユーザーの声を聞きながらPDCAを回す

ネクストビートのエンジニアは、フルスタックで設計から開発・運用まで全ての行程を手掛ける点が特徴だとお聞きしました。

三井氏:現在、新規開発中のプロダクトも含めて、およそ10のプロジェクトが動いています。当社のエンジニアは社内に約30名おり、業務委託とベトナムのオフショアメンバーを含めて総勢40名程度となります。それらのエンジニアが各プロジェクトに入り、ミニマムなチーム構成でフルスタックに開発を行いつつ、ビジネスまでコミットできる点が大きな特徴と言えますね。

当社のエンジニアは、営業やマーケター、カスタマーサクセスといった他の職種との距離感も近く、リリースした機能がユーザーに対してどんなバリューを提供できたのか、売上にどのように貢献したかまで考えています。

エンジニアはビジネスサイドにも関わりながら、サービスを開発・運営し、PDCAを回しているのですね。それでは具体的に、どのようなサービスを手がけているのでしょうか。

三井氏:一例として「KIDSNAコネクト」という、保育士の業務効率を改善する保育施設向け業務支援サービスをご紹介します。このサービスは、ユーザーの利用状況を当社が確認することができます。エンジニアもそのデータを確認し、ユーザーからのフィードバックと併せながら、サービスの改善に取り組んでいます。

その他にも、実際に「KIDSNAコネクト」を使っているユーザーを集めて、使用した感想や要望をヒアリングする場を作っています。エンジニアは、このようなユーザーからの生のフィードバックも取り入れながらサービス開発することが可能です。また、こうした取り組みの中で「KIDSNAコネクト」のユーザー同士による繋がりも見られるようになってきています。サービスをどのように使っているかといったユーザー間の情報交換も活発になってきていますね。

保育の現場でサービスが活用されているのは、社会貢献性が高くやりがいを実感できますね。

三井氏:そうですね、保育業界をより良く変えていくという、手応えを感じています。私自身も保育園に子どもを預けているのですが、まだまだアナログなことが多い現場だと感じることが多くあります。それらをデジタル化し、業務を改善していくことで、保育士たちは園児と向き合う時間を増やせるでしょう。

こうした取り組みが広がっていけば、業界自体が活性化し、保育士不足が解消され、共働き夫婦も安心して子どもを預けられますよね。保育現場の業務改善が、その周辺にまで良い影響を与えられるのです。

現在、新たに挑戦しているサービスなどもあるのでしょうか。

三井氏:未就学の子どもを持つ保護者の方に向けたサービスをプラットフォーム化するプロジェクトが動いています。これまでにも保護者の方向けのサービスは個別に存在していましたが、それらをプラットフォーム化することにより、よりシームレスな体験が提供できるのではないかと考えています。このプラットフォームで提供する新規サービスも、順次開発を進めています。

また、保育施設向けのサービスも、今後プラットフォーム化を構想しています。採用や労務管理といった人材マネジメントソリューションを統合的に提供することにより、保育施設の人材課題を包括的に解決するサービスにしていきます。

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新たな制度を導入しながら、自立型組織を目指していく

次に、エンジニア組織や環境、制度などについてお聞きしていきたいと思います。まずは、現在ネクストビートで活躍するエンジニアはどのようなキャリアを歩んできた方がいらっしゃるのか、そして、どのような想いの中でジョインされているのかについて、お聞きしたいです。

三井氏:エンジニアの年齢やキャリアは多様ですね。事業会社出身のエンジニアもいますが、SIer出身のエンジニアも多いです。SIer出身のメンバーは、「自分の手でプロダクトを成長させたい」という想いを強く持っている人が多いですね。また、「技術力を高めたい」というモチベーションで参画するエンジニアもいます。フルスタックエンジニアとして幅広い技術に携わる機会が多いネクストビートの開発スタイルに、興味を持ってもらえたのではないかと思います。

エンジニアに限らずですが、ネクストビートに入社する人は、ビジョンへの共感が大きいです。社会に価値貢献したい、未来に残る仕事をしたい、という想いを持った人が多いですね。また、チャレンジの場を求めてジョインするメンバーも多く、将来は起業したいという人もいます。普通であれば、起業する=離職する ということになりますので、起業を社内で公言することは憚られるのではないかと思いますが、ネクストビートではそのようなアントレプレナーシップを持つ方は大歓迎です。

エンジニアの開発環境に関してはいかがでしょうか?

三井氏:当社ではフロントエンドからバックエンドまで一気通貫で開発を行う、フルスタックエンジニアが活躍しているのが特徴です。どちらかの領域に限定すると技術の幅が狭くなるので、広い技術を身に付けられる環境を整えています。最近は、Webアプリケーションエンジニアがインフラ設計・構築やモバイルアプリ開発にも携わるケースが増えてきています。

技術を学ぶ環境づくりにも注力されていると伺っています。

三井氏:バックエンドの開発言語としてScalaを採用しているのですが、入社時はScalaを使用した開発経験がないエンジニアも多くいます。そこで、中途入社の方にも3週間程度研修を受けていただき、Scalaを習得してからプロジェクトにアサインするようにしています。今後はフロントエンドで使用しているAngularの研修も行っていく予定です。

技術共有や学びの機会も増やしており、「夕学講座」では週に1度、業務時間内で2時間の自己学習の場を提供しています。その中で、エンジニアが興味を持ったトピックを個人で勉強したり、同じテーマに興味があるエンジニア同士で勉強会のような形で学習を行ったりしています。これまで勉強会が開催されたテーマの例を挙げますと、ScalaのフレームワークやIoT、数学理論といったものがありました。

また、その他に技術力を高める制度などがあれば、お聞かせください。

三井氏:今年10月に「Nextbeat Developers Lab」というプロジェクトを立ち上げました。これは、プロダクト横断で技術方式を最適化していくためのプロジェクトです。DevSecOps推進、フロントエンド洗練化、Scala3対応等のサブプロジェクトがあり、それぞれにプロジェクトリーダーを選任しています。このプロジェクトで確立された方式を各プロダクトに還元することにより、技術の全体最適を推進していく試みです。

また、オンラインプログラミング講座費用や、AWS・IPA等の資格試験の受験費用を会社が負担する制度があり、エンジニアは積極的に利用しています。

プロジェクトなどの事例を共有する場もあるのですか。

三井氏:「開発定例」では、プロジェクトの共有を週次で行っています。「課題解決のために●●といった技術を導入した」「グロースさせるために●●といった工夫をした」など、エンジニアたちが発表しています。ここで発表された事例を聞いて「自分たちのチームにも取り入れてみよう」と横展開されることも多く、よい情報共有の場になっていると感じます。

お話を聞くと、向学心があるエンジニアが集まった組織だと感じます。

三井氏:そうですね、プライベートでも意欲的に技術習得に取り組むエンジニアが多いです。彼らが先頭に立って、組織に刺激を与えてくれます。また、人としても魅力のあるエンジニアが集まっているのも当社ならではですね。技術に対する高い知的好奇心を持ちながら、社員同士が尊重し合い、プロジェクトに関わっていくカルチャーが定着しています。

コロナ禍によって働き方が大きく変化しました。ネクストビートのエンジニア組織はどのような働き方を採り入れていますか?

三井氏:週3日は出社で、残り2日はリモートまたは出社を選択できるハイブリッドワークを採用しています。フルリモートだと同じチーム内のメンバーは会話ができていても、チームをまたいだ横の繋がりが希薄になってしまうので、現在はこのような働き方にしています。

今後はエンジニアの生産性を見ながら制度を適宜再設計していく予定です。リモートワーク時にはチームをまたいだ情報共有が課題となりましたが、例えば仮想オフィスソリューションの導入によりコミュニケーションを促進する等、エンジニアに適した生産性向上施策を検討していきます。

それでは最後に、これからネクストビートはどのようなエンジニア組織を目指していくのか、ビジョンを教えてください。

三井氏:より自走できる組織にしていきたいですね。エンジニアは現在40名ほどですが、事業に合わせてさらに増やしていく予定です。また、東京本社だけでなく地方採用も進め、分散したロケーションでも円滑に開発を推進できる組織にしていきたいと考えています。私がエンジニア全員をマネジメントするのではなく、各プロダクトの課題をチーム間で共有して解決する等、技術面・プロセス面で適時に最適化していくような自立型組織を目指し、これからも取り組んでいきます。

(左上から)インタビュアー:アールストーン 大宮 頌子、代表取締役 吉岡誠司、ネクストビート三井氏