“自走するエンジニア組織”を育む、その施策とは?そして同社のエンジニアとして働く魅力について。
CTO 島田喜裕氏
学習記録の可視化と、同じ目標を目指す仲間とのSNSでモチベーションを継続できる学習アプリ「Studyplus」、ユーザー数は約300万人、大学受験する高校3年生のうちおよそ1/3が使用しており、「2016年日本e-Learning大賞(最優秀賞)」を受賞するなど高い注目を集めている。また、塾や予備校向けの教育機関向け学習管理サービス『Studyplus for School』もたいへん好調。これらのアプリやサービスの開発・運営を手がけているのが、スタディプラス株式会社だ。 同社では今春、CTOに島田喜裕氏が就任。リブセンスやココナラなどで経験を積んだ島田氏が、スタディプラスのエンジニア組織を強化するために、新しい仕組み・制度などの導入をスタートさせている。その具体的な施策とは?そして、同社のエンジニアとして働く魅力について島田氏にお話を伺った。
文系出身からスタートし、自社サービスを担当するエンジニアへ
以前、島田さんはリブセンスさんやココナラさんで自社サービスを手がけてきたとお聞きしています。学生時代から理系で、エンジニア志向だったのですか?
島田氏:実は学生時代は文系で、経済学部だったんです(笑)。大学時代(2000年代初頭)は、まだまだインターネットも出始めという時期で。これからはPCスキルが要求される時代になると思って入社したのが、パソコンスクールの運営企業。そこでOAインストラクターをしていたんですよ(笑)。
そうなんですね。少し意外なバックボーンです。
島田氏:スクール生の方々に、Microsoft Officeの使い方やホームページの作り方などを教えていくうちに、簡単なプログラミングができるようになっていったんです。次第に、そのスキルを深めていくことに興味を覚えて、「初心者歓迎」という求人が出ていたSIerに転職しました。
そのSIerではどんなプロジェクトを手がけていたんでしょうか?
島田氏:飲料メーカーやアパレルメーカーの物流システムに長く携わっていましたね。SIerに約4年勤めた頃に、リーマンショックが起きたんです。そうしたら一気にプロジェクトが無くなってしまって…。自分たちが頑張って仕事を生み出すことのできる”自社サービス”を持つ企業に転職したいと考えました。
そこで決めた転職先が、リブセンスさんだったんですね?
島田氏:そうです。リブセンスに転職したのは2009年の秋ですね。当時はまだ創業間もない時期で、社員も20~30名程度。IT業界はリーマンショックの影響で求人数が冷え込んでいましたが、リブセンスは大量募集していて。ビジネスモデルも画期的で、「面白い!」と直感して入社を決めました。
リブセンスさんでは、社員のクチコミサイト「転職会議」という自社サービスを手がけられていたんですよね。
島田氏:はい。それまでは外注が作ったものを運用していた「転職会議」というサービスを内製にリプレイスし、一からつくって拡大させるまでの貴重な経験を積ませてもらいました。手をかければその分、ユーザー数が増加して、大きな反響を得る。念願の自社サービスを手がけられたこともあり、モチベーションは以前とは段違いでした。さらに、リブセンスのIPO前後も経験することもでき、社長・村上さんをはじめとした経営層の近くで仕事をできたことも稀有な経験だったと思います。リブセンスの経営陣はとにかく仕事が好きで、サービスを作ることが大好き。そんな姿勢にとても触発されましたね。
次世代に残るサービスを手がけたい
リブセンスさんを卒業しようと思ったキッカケはどのようなものだったんでしょうか?
島田氏:2つ理由があります。会社の規模、サービスの規模が拡大するにつれて、マネジメントに費やす時間が増えてしまったんです。もっと、プログラミングできる時間を増やしたいと思ったのが理由の一つ。もう一つの理由が、リブセンスが手がける人材や不動産といった領域のサービスより、さらに生活者に近いサービスを手がけてみたいと思ったことです。 そんな思いから、知識やスキルを売買できる自社サービスを展開するココナラに転職しました。およそ3年半働いて、次のステップに進みたいと感じていたときに紹介されたのが当社、スタディプラスだったんです。
スタディプラスのどういった点に惹かれたのでしょうか?
島田氏:ちょうど転職を考えているときに、長男が生まれたんです。子どもが生まれるという経験を通じて、仕事の面でも価値観が大きく変化しました。具体的にいうと、「次世代に残るサービスを手がけたい」という想いが生まれたんです。スタディプラスは「学ぶ喜びをすべての人へ」というミッションを掲げていて、新しい教育の仕組みをつくる会社です。さらに、大学受験生の3人に1人が利用する「Studyplus」を自社開発しています。まさにこれから自分が取り組んでみたい領域であり、サービスだと実感し、入社を決意しました。
自走するエンジニア組織を目指すために
スタディプラスさんにご入社されてからはどのような仕事を手がけられてきたのでしょうか?
島田氏:入社したのは、2018年1月です。まずは、塾や予備校向けのBtoBサービスである『Studyplus for School』のサーバサイドエンジニアとして仕事をスタートさせました。その後、2018年4月からCTOのポジションに就任。現在は、エンジニア組織のマネジメントや強化、さらには採用活動など、多岐にわたる業務を手がけています。
リブセンスさんを卒業する際に、「マネジメントよりもプログラミングする時間が欲しい」という理由があったと仰っていましたが、CTOになることに二の足を踏むようなことはなかったのですか?
島田氏:CTOを打診されて、正直少し迷いました(笑)。ただ、CTOというエンジニア組織のトップを任されるチャンスはそうそうあるわけではありません。ミドル層などの中途半端なポジションではなく、誰のせいにもできないトップのポジションを、腹をくくってやってみよう。そう決意して、CTOの打診を受け入れました。
島田さんがCTOに就任し、どのようなエンジニア組織を目指していきたいと考えているのでしょうか。また、そのために具体的に着手している取り組みや施策などあれば、教えてください。
島田氏:繰り返しになりますが、スタディプラスは「学ぶ喜びをすべての人へ」というミッションを掲げています。これは、社内の人間に対しても共通するミッションです。学ぶ喜びを得るために、まずはエンジニアによるテックブログ(スタディプラス開発者ブログ)をスタートさせました。 実は、私がCTO就任以前にも「テックブログをやろう!」という声があがっていたのですが、間違った知識を披露してしまったり、更新されなくなってしまうというデメリットにフォーカスがあたり、頓挫してしまったんです。しかし、エンジニアメンバーがブログを書くことを評価する仕組みを導入することで、そのデメリットを回避。執筆テーマも自由度を高くすることで、エンジニアたちがブログにコミットしてくれるようになりました。そうすると、ブログのためのネタを探すようになり、自然と情報のインプット量が増えて「学ぶ意識」が芽生えはじめたんです。私が目指したい「自走するエンジニア組織」へと少しずつ変化している実感がありますね。
その他にも、エンジニアが学ぶため、自走するための取り組みなどはあるのでしょうか?
島田氏:外部の知見を利用して、エンジニアのレベルアップを図る取り組みをスタートさせます。具体的には、外部の著名エンジニアにコードレビューを依頼していく予定です。さらに、テックカンファレンスへの協賛にも積極的に取り組んでいきます。
外部からの刺激は、エンジニアさんにとってプラスになりそうですね。
島田氏:そうですね。先ほどお話ししたテックブログに加えて、社内のエンジニアたちがどのような書籍を読んでいるか。蔵書を外部に公開する取り組み(Studyplus Library)もしています。外部からの刺激を取り入れるだけではなく、社内からも情報発信することで、エンジニア組織をアピールをしていきたいですね。
意義のあるサービスを手がけるという、やりがい
島田さんが実感する「スタディプラスで働く魅力」は何でしょうか?
島田氏:教育という、社会的な意義の強い業界に携われる点でしょう。『Studyplus』はすでに大学受験生の1/3が使うサービスであり、累計会員数は300万人を超えています。ここまでユーザーに愛されているサービスはなかなかないと思います。 また、イベントなどを通じてユーザーと直接コミュニケーションを取れる場もあるので、リアルな課題に接しながら開発できる点も魅力だと思います。サービス開発もトップダウンではなく、ディレクターやデザイナーと話し合いながら決めていくので、エンジニアのアイデアが反映されることも多々あります。
自由度の高い働き方も魅力だとお伺いしました。
島田氏:そうですね。当社は裁量労働制で、コアタイムもありません。私も子どもを保育園に送ってから出社することもありますし、朝は11時頃に出社するメンバーが多いですね。遅い人だと、14時頃に出社するメンバーもいます(笑)。
なるほど、それはかなり自由度が高いですね(笑)。それでは最後に、これからのスタディプラスさんのビジョンをお聞かせください。
島田氏:現在の『スタディプラス』のユーザーは学生ですが、大人になっても学ぶ機会は多々あります。今後は、学生という枠にとらわれないサービスを生み出していくことも目指していきたいと考えていますね。もちろん、学生に対しても、学習の理解を可視化する仕組みを取り入れるなど、さらなる機能拡充を追求していきたいと思っています。それらを実現させるためにも、多くの仲間を迎え入れたいですね。
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